再開
今日は間に合った……!
その後身柄の譲渡に関わる諸々の手続きを済ませ、正式に少女の身柄を引き受けることが決定すると満は少女が入れられた木箱と共に大通りに出て、そこに待たされていた商会の馬車に乗り込むと自宅近くまで送って貰った。
流石に自宅に馬車で乗り付けることは道幅的な問題で不可能なので近くの小路の入り口付近まで送ってもらい、そこからは木箱を抱えて移動する。
「雛乃さん………」
木箱を女神用に用意した部屋に運び込み、蓋を開ける。
中には先程の、想い人に瓜二つの少女が膝を抱えるような形で丸まっていた。
相変わらず光に守られた少女の身体に恐る恐る指を近づけてみると、先程の店主のように手を弾かれるかと思いきや満の指は光の膜をするりとすり抜け、少女の肩にそっと触れた。
ーー触れられるーー
そう認識すると、満は木箱から少女の身体を抱え上げてベッドに寝かせる。
それから首に掛けて服の下にしまい込んでいたネックレスを取り出し、その先に付けられたクラシカルなデザインの鍵を手に取ると、満は一瞬逡巡してから、少女の左手を取り、手の甲にその鍵を押し当てた。
「わっ……!?」
すると鍵がするりと少女の皮膚を透過し、その半ばまでを埋めるとどこからともなくカチリという音が聞こえ、それまで少女の身体を守っていた光の膜が弾け飛んだ。
きらきらと部屋に光の残滓が舞う中、満は少女の目がゆっくりと開くのを目撃する。
少女は黒い瞳を暫し虚空に彷徨わせ、やがて満と目が合うと美貌をふにゃりと崩した。
「満くん……」
「ひなの……さん……?」
「ふふ……ほんとにまた満くんに会えるなんて……神様が言った通り……」
「やっぱり、雛乃さん、なんですね……」
「うん、うん……」
ベッドから身体を起こし、目尻に涙を溜めて再会を喜ぶ雛乃に吸い寄せられるように近づくと、二人はふわりと抱き合い、もう離さないとばかりにきつく抱きしめ合う。
密着したまま一度視線を交わし、失われたいつかを取り戻すように二人の唇を合わせた。
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