表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/49

日報34『爆発エフェクト』


 珍しくエフェクトのみのカットを引いた。着弾から爆発、中から火球が発生し、渦巻くカット。


「おおお・・・なかなかに重いヤツだな。」


 メインの火球、と言うか火柱が徐々に丸くなっていく。フォルムが丸くなるにつれてスジ状のエフェクトが現れ、周囲を周る。足元を土煙が覆い、細かい破片が全面に飛び散っている。通常ならばエフェクト全てが色トレスで描かれてきてもおかしくないが、土煙は実線で上がっているので、少しは作業しやすいだろう。

 試しに真ん中らへんを一枚塗ってみる。火球、エフェクト、土煙、破片、たった四種類のパーツ色だが、思ったより時間がかかった。小さい寄りフレームからのトラックバック指示のあるカメラワークがあったせいで通常より解像度が高くなっていたのも原因の一つだろう。火球とエフェクトは同じ赤色トレスで引かれており、線の交点を地道に区切っていくのもなかなか骨が折れる。これは時間がかかりそうだ。


「終電までに終わるかな?これ・・・。」


 ザッと通して見ると、エフェクト部分に影パカも多い。取り敢えず原画があるセルから塗っていく事にする。中割り部分のセルは後から合わせよう。


 透過光のビームか何かが地面に着弾し、まず破片と土煙が舞い上がる。この二つは黒鉛筆、実線描きだが、助かった事にほぼ線は重なっていなかった。土煙のトレス線のみを指定の色で塗り換えていきながら、煙をペイントする。土煙が下の方に溜まっていくと、次に火柱が現れる。


「火柱の輪郭のギザギザ、細かいな。」


 まだ火球の周りのエフェクトが出てきていないので、『離れた領域も塗る』のコマンドを選択して輪郭の赤色トレス線を全て塗ってしまう。ギザギザの細かい突起部分には一ドットの穴がたくさん開いていて、一つずつバケツツールで塗り潰すか、塗り伸ばしツールを使うか、閉領域ツールで突起の山も谷もざっくりと塗り潰してしまうか、一瞬迷う。綺麗な上がりを目指すならば、バケツか塗り伸ばしだが、今回は枚数も多いしニコマ打ちでセルの置き換わるスピードも早い為、閉領域でザクザク塗っていく。それでもやはり一枚に思っていたよりも時間がかかった。


「やばい、これだと本当に終電コースだ。」


 下の方に溜まっていった土煙もだんだんと輪郭線がギザギザになって火柱の周囲を旋回しだす。こちらのギザギザも閉領域ツールで少し大雑把にペイントしてしまう。そして火柱の輪郭が滑らかになってきた所で新たなエフェクトが発生する。火柱、いやもう火球か、それとエフェクトは同じ赤色トレスで上がってきている為、前述の通り、まずはエフェクトの輪郭線の色を指定の色にペイントし、残りの輪郭線を一気に変更する。


「ああ、まだエフェクト残ってた。」


 原画では影色を別の色で塗ってあるので火球かエフェクトかの判別はつくが、動画上だと両方とも輪郭線は赤、影線は緑色で描かれている為、エフェクトを一つ見落としてしまっていた。改めてエフェクトの指定色でペイントし直す。輪郭線の色を変えてしまえば、あとはノーマル、影と塗り分けていくだけだ。線の途切れもほぼ無く、ここはストレス無くペイントできた。

 原画部分を塗り終わり、中割り部分に手を付ける。問題なのはここからだ。明らかにパカのあるセルがあるのだが、修正しきれるだろうか。


「ここは小さい影だから何とか描き足せるとして、こっちは・・・無理だな。面積大きすぎる。メモメモっと。」


 テキストメモに作画不備の箇所を記し、作業を進めていく。ギリギリ終電には間に合いそうだ。


「よし、何とか終わった。あとは通して見直して、と。」


 モーションチェックで検査をすると、火球と土煙は問題無さそうだが、やはりエフェクトに細かいパカがある。見つけたパカを修正しつつ、自分では直せない箇所はテキストメモに追加していく。


「さて、そろそろ出ないとまずいな。」


 カット袋を上がり棚に置き、急いで帰り支度をする。内心ミスが無いか不安だが、今日はもう終了だ。明日また頑張ろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ