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日報33『メカ2』


 最近はスキャン物が全くこない。今日も海外動画スキャンやデジタル動画の入ればかりだ。


「お、メカ久しぶりだな。」


 近頃のメカ物は3D作成がほとんどで、手描きのメカのシリーズ物は珍しい。今はこの作品のスタジオともう一つくらいしか思い浮かばない。


「あー、この戦艦、久しぶりすぎて塗り分け覚えてないなぁ。こっちのシャトルはほぼ一色だから何とかなるか。」


 このカットの内容はシャトルと巨大戦艦にライトの明滅のピンホール透過光が何枚かと噴射の透過光。戦艦は後ろ真ん中手前と三枚に分かれて作画されていて、所々にダメージを負っている。


「これ壊れてるとこの色指示、何も書いてないな。元のパーツの色で大丈夫かな?」


 丁寧な打ち込みをしてくれる色指定さんだと、ここはどのパーツの色だとか指示をしてくれるのだが、このカットは戦艦の名前が打ち込んであるだけで、細かな指示はない。しかも船体が三分割されて作画されているので、カラーモデルの絵からはパーツの判断がつかない箇所がいくつもある。


「うーん、ここはこの色かなぁ?いや、こっち・・・?」


 戦艦の一番後ろのセルは噴射口と船体のベース色以外のパーツがよく分からない。原画データを見てみるとブラック指示以外、特に指示はない。真ん中のセルの原画には緑とグレーという指示が入っていた。船体の緑色とグレーのパーツの色だという指示なので、それに従ってペイントする。真ん中を塗り終わった所でライトテーブルで一番後ろのセルを透かしてみると、後ろのセルの塗り間違いに気付いた。


「あ、なるほど。こっちの色だな、たぶん。」


 後ろのセルを表示し、修正する。


「さて、一番前は・・・。中破してるパーツが問題だな。ここは船体の色でいいとして、こっちはグレーか赤かどっちだ?」


 ちょうど色の境目あたりが破壊されているにも関わらず、分割線は引かれていない。


「大きい面積の方の色でいいか。内部パーツの可能性もあるけど。」


 特に指示がないので、カラーモデルから拾える色しか使えないのだが、不明点は仮色にしておくべきか少し悩む。悩んだ末にカラーモデルにある色でペイントする方向で落ち着いた。


「さて、一通り塗れたな。よし、ライトテーブルに登録して・・・。」


 後ろの二枚を透かせてみると、戦艦の完成形だ。カラーモデルの絵と比べてみてペイントミスがないか確認をする。ほぼ正面からの絵なのだが、少し角度が付いているのでカラーモデルではよく見えないパーツがある。そのパーツはちょうど真ん中のセルの色指示があった箇所だったので、原画の指示を信じてそのままでいく事にする。


「うーん、これで大丈夫かな?」


 前面、背面、デッキ部分のアップ等、複数ある全てのカラーモデルと何度も見比べる。最終的にこれでいいと判断して、戦艦のペイントを終了する。あとは止めイチのシャトルと透過光だ。こちらは問題なくペイントを終える事ができた。

 カット袋を上がり棚に持って行き、次のカットを取る。ダミーのカット袋なので中身は分からない。自席へ戻ってトレスデータを落とし、内容を確認すると、先程のカットにもあったシャトルだった。


「さっきの戦艦に比べたら、動いててもまだ楽かな?」


 シャトル本体と噴射の透過光で二十枚程度。そう重くはないカットだ。


「もう一カットくらい取れるかな?今日は。さっきの戦艦で時間かかったから、もう少し枚数稼ぎたい。」


 皮算用をしながらペンタブを持つ手を動かす。さて今日はどこまで枚数を伸ばせるだろうか。



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