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NDK黙示録  作者: つくも拓
第2章 トナン編
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彷徨える吟遊詩人(6)

長らくお待たせしてすみません。

「アホの素」を補給できたので、やっと続きが書けるようになりました。

次もそうお待たせせずに投稿できると思います。

ルーダの背に跨りトナンへの空の旅を満喫していたノックは突然の激震に驚いた。

「どうなさいました?」

ルーダの隣で飛んでいたアユタヤが訊ねてくる。

それでノックは確信した。この激震は上位階梯世界関連のものであると。

おそらく何かが破壊された……

何だ……

聖遺物? 

いや違う。あの振動の規模からするとかなりの大きさがある……

下界に降ろせる大きな物と言えば……ゲート?

いや、ゲートだとするとガ一號クラスだぞ?

まさか……

しかし、他に思い当たる物がなかった

上位階梯うえの連中は何を考えとんのや?」

ガ一號クラスのゲートを下界で破壊する……

ゲートは無差別ランダムに複数の座標に繋がる。空気の組成が違う星に繋がったら? 海底や火山のマグマ溜まりに繋がったら?

「!! ルーダ、あっちの方に向かえ、全力でや!」

「ど、どうなさったんです、ノック様」

上位階梯うえが絡んだ緊急事態や! つべこべ言わんで急げ!!」

「わ、分かりました! 落ちないで下さいよ!」


現場に着いたノックはゲートの瓦礫を前にし呆然としている上位階梯世界の者を見つけた。

「こら、オンドレここで何をしくさった!!」

「ゲートが…ゲートが……」

「ええい、シャキッとせんかい! 

って……あれ? おまえ、ベガか?」

「え? うわっ、ノックさん!?」

「おまえ、こんなトコで何しとるんや? 確か第5階梯の偉いさんの補佐やっとるんやなかったんか」

「そのラファエロ様の指令でここにゲートを設置に来たんです。でも、そのゲートが……」

「ゲートがどないしたんや?」

「繋ごうとした瞬間 破壊されたんです……」

「破壊された? ゲートがか!? おまえ冗談は顔だけにしとけよ!?」

「顔の事でノックさんに冗談って言われる筋合いはありませんよ!」

「そやかて、ゲートは核爆弾が直撃しても壊れんぞ」

「私も訳が分かりませんよ。いきなり向こうから走ってきたテリーナという女が」

「あ……」

「『あ』って、ノックさんあの女の事知っているんですか!?」

「おハナや」

「は?」

「ハンナ・グランディアや」

「え……」

「事情は後や。とりあえずこれを何とかせなな」

「ごもっとも」

「ところで、やな。あそこにもう一人、上位階梯うえのモンがおるが、知り合いか?」

ノックの指差す先にいたのはグレーテルであった。

「いえ、知らない顔です」

「緊急事態や、あいつも手伝わそ」

ゲートは上位階梯世界の関係者しか触る事も出来ないので手は多いに越した事はない。

ノックは瓦礫の回収を始め、ベガが勧誘に赴く。ノックは上位階梯では叛逆者であり、ベガは高位の者に仕える権威側の一員であるので仕方ない役割分担であった。


「ネエちゃん、すまんな。話は後や、手伝うてくれ……って、どないしたんや? ワシの顔になんかついとるか?」

グレーテルはゲートがバラバラになって散らばっているという事態に緊張していたが、ノックの顔を見て驚きでフリーズした。

「ノ……ノック……」

「ワシの事知っとるんか……まあ仕方しゃあないな」

「ノック・クラーケン!!」

「誰が化蛸クラーケンじゃ!! ワシの名前はクラークケントや!

コラ、ベガ公、おまえもなに笑うとんや!!」

「し、失礼……ノックさん。秘孔ツボに入って」

「なんでノック・クラーケンがここに……」

「クラークケントや言うとろうが…ホンマ緊張感のないヤッちゃ。もうええ、おまえらも早ようゲートの回収をせんかい。

……

動け!!!! ボケ共!!!」

ノックの一喝に、慌てて回収を始めるベガとグレーテルであった。

「おハナも後で締めなアカンな……」

そう独りごちていると、通りの向こうから知った顔が全力で走ってきていた。

「トシ? その後ろからくるんは…おハナ?」

ノックは慌てて回収したゲートの瓦礫から大きめのもので道を遮る。

触れる事の出来ないトシは素通りし、テリーナは思いきり鼻を打って転倒した。

「あた〜。なんで……って、ノックさん!?」

「ノックさんやないわ、このアホ!!」

「? ノックさん、今はそれどころじゃないの!

トシを、トシを捕まえないと!!」

「トシを? アイツまたなんかやらかしたんか?」

「孫が、アタシの孫が!」

「ドアホ! オドレに孫なんぞまだ生まれとらんやろうが!! 今はそれどころやないわ!!」

「でも!!」

「あーーー! トシはワシが捕まえたる!!

それよりおハナ、特大のゲートがバラバラになって散らばっっとる。回収手伝え」

「ゲートがバラバラに? 嘘でしょう?」

「ワシがそんな嘘言うか?」

「それは……まあ…」

「どっかのアホが壊してくれたお陰でバラバラや。どれか一つでもとんでもないところに繋がったらどうなる思う」

「それは確かに大ごとですね! でも、一体誰が?」

テリーナは自分に向けられた視線に気づいた。

「な、なに? あれ? もしかしてベガくん?」

ベガは頷く。

「久しぶり〜。でも、なんでアタシを睨むの?」

「おハナ、おまえここを通った覚えないか」

「え?」

そう言えば、メリーを追いかけて……

「もしかして」

ノックとベガが頷く。

「…テヘッ♡」

「テヘやないわ、ドアホ!! 分かったら手伝わんかい!」

「ごめんなさい……でもノックさん、トシを」

「ああ、分かった分かった。

おいルーダ、おまえトシを確保しとけ」

「ノック様、いきなり無茶振りせんでくださいよ!」

「大丈夫や。ルフィンにコレ聴かせたらすぐやさかい。ちゃんと確保しとけよ」

そう言うとノックは音源となるスマホを渡し、ベガやグレーテルと共にゲートの欠片の回収に戻っていった。


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