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NDK黙示録  作者: つくも拓
第2章 トナン編
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彷徨える吟遊詩人(インターミッション2)

このエピソードは本来第3話の「神話の始まり」に入れる予定でしたが、今後の展開上ここで入れておかないと辻褄が合わなくて。

なんとかならないかと頑張ってみましたが、どうしようもありませんでした。

「そんな大層な作品か!?」とお叱りを受けそうですが、作者なりのこだわりですので。

遅くなった言い訳の一面も否定できませんが、ご容赦ください。

階梯の違いが一つなら感覚的にはまだ近しいものがあるが、二つ違うともう「雲の上の存在感」が強い。日本の企業で例えるなら、第3階梯の監査官であるサリューデやレイリーは営業所長で第4階梯のダンテは支店長か本社の部長。第5階梯の者は差し詰め社長か常務クラス。外資なら本国の役員程の距離感がある。

ラファエロ・デカンレーロは第5階梯に所属する自分が訪れているのに全く緊張感を感じられないエリア9-Dの監察官達に驚きを禁じられなかった。


第5階梯のラファエロが惑星規模の現場にまで出向く事は普通ならあり得ない。

では、なぜ出向いたかと言うと、どうしても断れない相手あねからルキアスのフォローを頼まれたからである。そのフォローの対象である甥っ子のルキアスはと言うと、監察官達からお仕置きをされている最中だった。

「何をしているのかね、君達は」

「お仕置き」

怒気を含んだラファエロの詰問にも監察官達はどこ吹く風である。

その態度はラファエロの怒りに油を注いだ。

「第5階梯の私が出向いているのに何だ、その態度は!!」

第5階梯のラファエロが怒りを露わにする。その神威は凄まじい。ニ階梯下位の者では通常耐えられるものではない。

しかし次の瞬間ラファエロは耳を疑った。

「だから?」

コイツ等、頭のたがでも外れているのか?

「だからだと!? 第5階梯の」

「来てくれと頼んだ覚えはないから」

「勝手に来ておいて、何の用だと言うんで?」

ラファエロは毒気を抜かれ、マジマジと監察官達を観察直した。


三人とも目に光がなかった。


何があった……ラファエロの背中に悪寒が走る。


「で、第5階梯の偉いさんが何の用?」

「ルキアスがしくじった場合のフォローを…」

「ふぅ〜ん」

ふぅ〜んって…

気のない返事にラファエロは戸惑いを隠せない。

「で、何してくれるの」

「あ、はい。ゲートを開こうかと」

「そ。でもアレって設置する場所にもスタッフが要るよね。誰を送るの?」

「はい、既に手の者を送り込んであります」

「あぁ、そう言えば減っていたシードは二つだったか」

「あんたが盗んでたんだ」

盗んで? 

シードの管理権限は第4階梯級クラス、それより上位階梯のラファエロには自由に使用する権限がある。それは第3階梯の彼らも知っている事である。なのに、言うに事欠いて盗んだ?

「まあいいか。お好きなように」

まあいいかって…

「成果を出せるならなんでもしてくれ」

「出せなかったらアンタもお仕置きね」

え?

「さ、続き続き……」

ラファエロは理解した。彼らは箍が外れてるんじゃない。ネジが飛んでいるんだと。



地上で待機していたベガはトナンの大通りいっぱいの大きさにゲートを設置、その時に備えていた。この大きさならべへモス級の魔獣でも召喚できる。第5階梯の命令とはいえこの地に住まう者達の明日を思うと憐憫の情を禁じ得ないが、これも浮世のおしごとである。

ついに上位階梯ラファエロからの指令が届く。リンク先は現在最悪と噂されるリンポ-31F。牛程の騎竜を駆る獰猛な蜥蜴リザードマンが大軍で他種族に無差別攻撃を繰り返している。神出鬼没で残虐無比。戦火が途切れることが無く、上位階梯の望み通り常にミダレが溢れている。あの世界がこちらに流れてくる。この地もさぞや優秀なミダレの回収地になるであろう。


台風一過。台風の名はテリーナという。

ベガは台風が通過したあとに残されたゲートの残骸を前に茫然となっていた。

「またか〜」

「メリーちゃん、今度は何をやらかしたんだか」

また?

道行く人々の声を耳にしベガは首を傾げる。

「ちょっと、すみません。こんなことがしょっ中あるんですか、この街では?」

「あんた、この街は初めてかい?」

ベガは頷いた。

「なら驚いたろうね」

「テリーナさんは普段は佳い人何だけどねぇ」

「娘のメリーちゃんが絡むと頭に血が上っちゃって『つい』ね」


ついで済むレベルか!? ゲートを破壊するって、核爆弾が直撃しても不可能なんだぞ?


「まあ、ファルークさんがそのうち止めるさ」

そう言って街の住民達はそれぞれの日常に戻っていった。


なんで皆んな平気なの……

ベガは残骸ゲートの後始末も忘れ、この街の住民達に薄ら寒いものを覚えていた。



ラファエロはゲートが崩れ落ちる映像を呆気に取られた。

「あ〜あ、やっぱりこうなったか……」

やっぱり? 

どう言う事だと振り向いた時、入口が閉ざされているのに気づく。

悪寒が走った。ものすごく悪い予感。

言葉が一つプレイバックしてきた。


お仕置き……


「ま、待て!! 待つんだ君達!」

「何かな? 第5階梯のお偉いさん」

表情の無い目が、怖ろしいと思った

「少し、少しお話しをしないか?」

「偉いさんの命令なら仕方ありませんな」

良かった。しかしどうごまかす? 考えろ、考えるんだ、私!!

しかしラファエロの安堵は次の瞬間終わる。

「ただし…」

ただし?

「「「お話しはお仕置きのあとでな」」」

次回は本編です。

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