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NDK黙示録  作者: つくも拓
第2章 トナン編
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伝説の復活(3)

リン・ミトミ。5歳。聖トナン幼稚園年長のメープル組に所属。好きな物はプリン。おじいちゃん子で、叔母のケイを崇拝している。ルケスだけは「言う事を聞かなきゃいけない大人」と思っているが、他の三富組の面々はなんとなく苦手である。

「お嬢、こいつらはケイ姐さんの頼みで今日からウチで預る事になった者です。

おい、お前達。リンお嬢にご挨拶しな」

トシとルフィンはリンの方に振り向いて、いつもの様に挨拶を始めた。

「ど〜も〜、トシで〜す」

「ルフィンで〜す」

「二人併せて〜」

「…何だっけ?」

パシッ✖️2

二人の頭が後ろから叩かれた。

「挨拶をしろって言っただろうが! 誰がコントを始めろって言った!!」

「えっ、いや…つい…」

「それとも何か、お前達はいつもあんな挨拶をしてるって言うのか!?」

コックリ頷く二人。

「私をバカにしているのか?」

「そんな!」

金銭ギャラにもならないのに他人ヒトをいじったりしませんよ!」

「???」

「ボク等が挨拶するのってお笑いやる時が多いから、挨拶したらそっちのスイッチが入って」

「つい…」

「…ふざけてる?」

「ホンマですって! ボクこう見えてもノック師匠の一番弟子ですから! 身に着いてしもうた哀しいサガなんです」

「いや、トシの場合は師匠に出逢う前からあんなモンだったよ」

「待てーー! それじゃボク天然物のアホみたいやないか!!」

「トシ、目を閉じて」

「なんや、いきなり」トシの口調が芸人モードになっている。

「いいから。目を閉じて自分を振り返って見よ」

「こ、こうか?」

「…あの時の言動、あのリアクション…」

何かを思い出すようにトシの顔と体が動く。

「トシ、目を開けて。

振り返って見てどうだった?」

「……て…」

「て?」

「天然…やなあ」

「自他ともノック師匠の一番弟子と認められるのはダテじゃないんだ。

そろそろ現実を受け入れよう? ね?」

「どうしても認められん事がひとつある!」

「なんだい、トシ?」

「ボクは確かに天然や。せやけど、せやけど…師匠に遠く及ばんのや!」

「当然だろう? 相手はあの大魔王ノックやで」

「せやけど、せやけどな!! 人気は欲しいけどああは成りとうないんや!!」

「成りたくないんかい!!」

「当たり前や!…って、誰か止めてよ!」

「いや、どこまでやるのかなぁと」

ルケスは半ば呆れ、リンのキャッキャと笑っていた。

「それにしても、あの大魔王ノックの一番弟子とは大きく出たな」

「ルケスさん。嘘みたいだけど、それ本当の事ですよ」

「ケイお嬢に確認するぞ。いいのか」

「「どうぞどうぞ〜」」

それを見たルケスは『本当マジかよ…』と思いながらスマホを取り出した。心なしか手が震えている。

「トシ、ルケスさん何か変じゃない?」

「ルフィン、お前ケイ姐さんに電話するのに」

「あ、それはビビる」

「二人とも、何を言っておるのじゃ?」

リンが不思議そうに訊ねた。

「ケイ姉様は美人で、強くて、頼り甲斐があって、すごく優しいのじゃ。なぜビビる?」

「美人で」「確かに美人だよね、気にした事ないけど」

「強くて」「反論の余地ないよね」

「頼り甲斐があって」「うんうん、カリスマあるある」

「すごく優しい」「……洗脳?」

三富ウチの者でケイ姉様を嫌っている者はおらんぞ?」

「リンお嬢、ボク等も嫌ってなんかいませんよ」

「ただ、叱られる事が多かったので」

「うんうん、怒った姉様はちょっと怖いから」

「「ちょっと?」」

麻痺してるんだ……こんなに幼いのに……

「?? ルケスが緊張しているのは姉様にかけるからではないぞ」

「じゃあ?」

「ルケスは大魔王ノックさんの大フアンなのじゃ」

そこにルケスから声がかかった。

「おいトシ、ケイお嬢からメールが届いてないか」

「少しお待ちを…あ、5分前に入ってます。

え…っと、プロムが行方不明、的はおそらく…

俺? どう言う事ですか?」

「代わるか?」

トシはルケスからスマホを受け取り、ルフィンにも聞こえるようスピーカーモードにする。

「よう、トシ、ルフィン」

二人の背筋が思わず伸びた。

「気をつけな」

「姐さん、プロムって 誰?」

「ん? ああ、言ってなかったか。

チェイズが騎乗してた幼竜だよ。

テリーナさんの所から姿をくらませたそうだ。図体はデカいけど、人間で言えば5歳くらいらしいから探しているんだ。見かけたらすぐ連絡寄越しな。いいね」

「姐さん、それは構いませんが、メールにある『的』ってなんですか?」

「詳しくは知らないけど、お前に恨みがあるみたいだよ、トシ」

「恨み? 何でですか?」

「詳しくは知らないって言っただろう。後は自分の胸に手を当てて聞いてみな」

「…」

「じゃあ、アタシの可愛いリンに代わりな」

トシがスマホを渡すと、リンは大喜びで受け取る。

「ケイ姉様、あのね………」

その様子を見てルケスは嘆息した。

「あ〜あ、ああなったら小一時間は離さないな。

ところでトシ」

「な、なんですか?」

「疑ってすまなかった。本当に大魔王ノックの弟子だったんだな」

「ええ、まあ」

「なら、お前に頼みがある」

「なんですか? 改まって」

「ノック師匠のサイン貰ってくれ! あ、ルケスさんへって忘れないでな!!」

「わ、分かりました。分かりましたって…痛い痛い痛い」

興奮してルケスはトシの胸ぐらを掴んでガンガン揺さぶる。

「貰えなかったらぶっ殺すからな!」

「分かりましたから。離してーーー」

ノックの大フアンというのは本当ガチらしい。

次から話は動き始めます……多分

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