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NDK黙示録  作者: つくも拓
第1章 モキータ編
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邪教・暴竜、そして真実の愛(11)

長らくお待たせしてすみません。

スランプでコメディにならなくて……

心機一転頑張ります。

トシ、タカ、メリーと、巻き添えを食っているルフィンは一室に閉じ籠り打ち合わせをしていた。表情は真剣そのもので鬼気迫るものすら感じさせる。

「……なぁ、タカ。それにメリー、ルフィン。俺、この件が一段落したらモキータを離れようと思ってるんだ」

「奇遇だな。俺も同じ事考えてた」

「実はアタシも……」

「ホント? でもどうして? せっかく友達になったのに」

「アタシは母ちゃんと一緒に居たくないんだ。比較されて比較されて、少しトラウマになってるから」

「あ、それ分かる。アレと比較されるって拷問だよね。ましてや親娘で顔はソックリだし」

「ルフィン、死に方は選ばしてあげる……って言いたいところだけど、まあその通りよ」

「トシとタカはどうして?」

「だって、ドラゴニアの元皇子、チェイズのお仕置き見たら……」

「ああ、悪い警官と良い警官って言ってたけど」

「アレ、どっちも酷いよな……」

四人はケイ姐さんとミイ姐さんに徹底して追い込まれるチェイズの姿を思い出し震えだす。

「……ボク、あんな目にあったら五分で死ねる自信があるよ」

「バカ、あの二人が死なせてくれるモンか」

その通りだと思い沈黙がおりる。

「チェイズさんって結構良い男だったのに、完全に幼児退行起こしてたよね……」

再びの沈黙。

「その後も酷かったよな…」

「ダンジョーさん、言ってるセリフは立派だったけどね」

「彼は歪んだ価値観に縛られているのです。それは愚僧の責任でもありますだっけ?」

「愛をもって必ずや彼を更生させて見せましょうって、あそこまで追い込まれてから言う?

どうせならもっと早く助け舟を出すべきだよね」

「チェイズさん、必死になってダンジョーさんの脚に縋り付いてたもんね」

「で、別室に連れて行かれてアレだもんなぁ」

「鬼畜の所業だよな」

別室に連れて行かれたチェイズの悲鳴、呻き声、それに続く喘ぎ声を思い出し顔を痙攣らせるトシとタカだったが、ルフィンは他人事の様に思っていたようだ。

「あれは可哀想だったよね。トシもタカも気を付けてね」

「ルフィン。何を他人事みたいに言ってるんだ? 明日は我が身だぞ?」

「ボ、ボクも!?」

「ダンジョーさんもノワールさんも、種族の違いなんて気にしないわよ?」

「トシ、タカ! どうしよう!!」

「助かる方法はただ一つ、この騒ぎを落ち着かせて隙を見て街から逃げ出す! 他にあるか?」

四人の心は一つになった。

「恥も外聞も捨てて、絶対絶対ミッションを達成しような」

「でも、もししくじったら?」

「それを言わせる? 分かり切ってるじゃない」

「どうせこの街から居なくなるんだ。徹底するか」

「トシ、何か良い考えがあるの?」

「まあな。肉付けと役の割り振りをしたいんだ」

「どんなの?」

「タカが言ってただろ? 亜メリー達は女らしくなりたいんだ。でも亜メリー行為をしてたらそうならないって思わせる。そのための芝居をするんだよ」

トシは三人に自分の腹案を話し始めた。


「あいつら、本気になったようだね」

「任せて大丈夫なんですかね、ケイ姐さん」

「言っただろ? アタシはトシに一目置いてるって」

「それが不思議なんですよ。なんでです? トシですよ?」

「あいつがこの街に現れてから、二つの大きな災難が解消してると言ったら信じるかい?」

「大きな災難? なんです、それは」

「UTAGEの前を思い出してごらん。この街はヒトと獣人が一触即発の危機だったじゃないか。

アタシもミイも、大きな暴動に発展することを覚悟してたんだ」

「アタシ達の望む世界は、ヒトも獣人も有角種も区別のない社会になる事だからね。

ヒトと獣人がぶつかった後の事を考えて、その被害が最小になるよう人材を育成、確保していたのさ。表と裏からね。ケインさんやドリーもアタシ達が見込んだ人材なのさ」

「それがUTAGE一つでぶっ飛んでしまった。

メリーの配信ながした映像を見たときアタシは目を疑ったよ」

「そして、アタシやリューを始めとする同士を巻き込んで騒ぎを大きくした」

「結果と言えば、一滴も血が流れる事無く区別のない街が生まれた」

「ケイン、アンタのパオーンのおかげだよ」

「次も頼むよ」

「……勘弁してくださいよ、姐さん達」

「もう一つはサキュバスだよ。今は牙を抜かれて別のモノ抜いてるけど、アレは本来どう言う物かわかっているだろう? 手懐けられたのは僥倖なんだ」

「そして、そのどちらもトシの考えたものなんだよ。アイツはアタシ達の知らない文化を知っている。少しおかしい文化かもしれないけど、アタシ達の社会に福音をもたらしてくれているんだ」

「確かにおかしいわな」

ノックはケイの話しを聞いて思い当たる事があった。魔王として降臨した自分を無力化したのもトシではないかと疑っていたからだ。

『オハナ、今の話しどう思う?』

『ノックさん、いきなり心話でなんなんですか?』

『実はな、ワシの魔王としての力を無力化したのもトシやないかと思うんや』

『! 本当ですか、それ』

『ああ』

『ああって、それって簡単な事じゃありませんよね』

『しかも何の騒ぎにもなっとらん』

『……それってもしかしたら……』

『ああ。トシのヤツ、もしかしたらアレかもしれん』

『……トリックスター』

ノックは余人に気付かれないよう頷いた。

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