表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NDK黙示録  作者: つくも拓
第1章 モキータ編
38/72

邪教・暴竜、そして真実の愛(7)

「あの〜、テリーナさん。一つお伺いしたい事が……」

「何かしら、ボクちゃん?」

「これ、もしかしてあなたですか?」

タカが見せたのはモンデル教団から届いた写メだった。

「あら、いつの間に。って、何? 神はいたって。いくら妾が美しいからって神は言い過ぎだと思うわ。もうオマセさんね」

「おハナ、そう言う事やないんや」

「ノックさん、おハナはやめてって。で、どう言う事かしら?」

「ノックさん、ここからは私から」

ケインはサキュバス出現からチチモンダルの獣事件、街に蔓延る亜メリーについてテリーナに説明した。

「何をしでかしてるの、あのは……」

「そして今問題になっているのが、モンデル教団なんです。メリーを御神体にしている亜メリー達の集団なんですが、あなたの姿を見て活性化してしまって」

「つまりやな、おまはんが不用意にこの街に来て歩きまわった所為で『メリーの胸が大きくなった』『あたしの胸も大きくなれるんだ』と思い込んだワケや」

「……アタシの所為?」

全員が頷く。

「おまはんには何の悪気も無いのんは分かってるんやけどな……引き起こされる結果を考えると……」

「なんか、ごめんなさい……」

「それよりも、今議論すべきはこれから起きる騒ぎをいかに鎮めるかです」

「あのぅ……」

「トシ、あんた何か言いたい事でもあるのかい?」

地べたに正座させられたままのトシをケイは冷たくあしらう。

「ね、姐さん…足が…もう」

「いい案出せれば足を崩していいよ。何かあるかい?」

「あ、あります!提案させてください! でも、その前に足を崩させて……」

「つまらない案だったら石を抱かせるからね」

「トシ! 大丈夫だよな!」

「タカ、任せろ。死ぬ時は一緒だから」

「分かったわ。その覚悟があるなら言ってみなさい。暫く楽にしていいわよ」

暫く休んでから、トシは恐る恐る提案を始めた。

「まずテリーナさんの件ですが、メリーが胸が大きくなったワケじゃないって事にすれば良いかと」

「どうやって?」

「具体的に言うと、あれはメリーを使った女装神印の『寄せて上げるブラ』のモニターだった事にしてしまい、TVコマーシャルを流してはいかがでしょうか?」

「そのブラはそんなに効果があるのかい?」

「そこはテリーナさんにご協力頂いて。

まずメリーを映して使用前。次に同じ服を着たテリーナさんを映して使用後のメリー。このブラを着ければあなたの胸もこんなに立派にって」

「ほとんど詐欺だね」

「でも、アリだと思いますよ。と言うか、亜メリーを沈静化するにはかなり有効じゃないですかね」

「確かに。テリーナさんを誤魔化すにはそれしかないんじゃないでしょうか」

「市長、問題が二つあります。メリーを確保する事と、暫くはテリーナさんを隠す事です」

「え? メリーはこちらに居ないんですか?」

「少し前から姿が見えないんです」

「逃げたのか……」

「それはないと思いますよ。ケイ姐さんの許可を得ずに逃げたらどうなるかくらい知っていると思いますから」

マーカス教団の3人以外は一様に相槌を打った。

「トシ、なかなか良い案だったよ。じゃ、二人とも正座に戻りな」

「ちょ、ちょっと待ってください! また正座ですか!」

「当たり前だよ。根本的な解決になってないからね。まあ、石を抱くのは勘弁してあげるよ」

「トシ〜〜」タカの泣きが入る。

「ね、姐さん! もう一つ案があります!」

トシは必死でケイに縋った。

「根本的な解決案なのかい。言ってみな」

「えっとですね…つまり…その…」

「誰か。石を持っておいで」

「姐さん、ボクにも提案させてください!」

「なんだい、タカ」

「石は嫌です! ですから、亜メリーやってたらスゴく嫌な事が起きると思わせたら良いと思います!」

「嫌な事?」

「胸を大きくしたいと言う事は、より女性らしくなりたいと思っていると思います!

なら、亜メリーやってたら男性化すると思わせられたらいかがでしょうか!」

「それはそうね。タカにしては考えたじゃない。

いいわ。石は許してあげるわ。

トシ! 石を抱きたくなかったら具体案を考えなさい。やれるわね」

「イエス・マム!」

「暫く休憩を入れましょうか。その間にメリーを呼び出しましょう。

テリーナさん。私が呼ぶまでメリーの前に現れないでくださいね」

テリーナはケイの言葉に首肯する。

トシはメリーが来る前に案を出すべく悩み出した。タイム・リミットは小一時間程しかないと思い、トシは珍しく真剣になった。


「ケイ姐さん、大丈夫ですかね?」

「まあ、トシに期待しましょうかね。

こう言っては何ですが、アタシはあの子の想像力には一目おいてるんですよ。きっと何かくだらない手段を考えつきますよ」

そう言うとケイはカカカと笑いテリーナの方に向き直る。

「それより、あなたの事をもう少し聞かせてくださいますか?」

「ケイはん、ワシはちょっと外させてもらうで。グリフィン達と話があるんや」

「では、1時間後に再開と言う事で。

あ、誰か説得班を呼んでください。トシとタカが逃げられないように」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ