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NDK黙示録  作者: つくも拓
第1章 モキータ編
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魔獣 夜に咆哮す(1)

グリフィン出現。

その第一報がケインの元に入ったのはUTAGEから3日後の夕刻だった。場所は歓楽街、週末であり民間人への危害も懸念される事態である。

グリフィンの目撃情報はさして珍しい物ではなかったが、街中での出現報告は滅多にない。人語を解する事から聖獣と呼ばれているが、その生態は定かではなくどの様に対処していいのか検討もつかない。正直なところ対応する部署も定かではないためケインのところに回ってきている。貧乏くじを引かされたと言い換えてもいい。

ケインはとりあえず武装させた機動小隊を率い、報告のあった街の東部にある歓楽街に向かった。

「署長、民間人がグリフィンと争ってます!」

現場に到着したケイン達の目に入ってきたのはグリフィンと言い争いをしているトシの姿であった。

「トシやないでっか、あれ」

「って、リューさん! いつの間に」

「いえね、グリフィンが出た〜って情報が入りましたさかい、これは報道せなあかんと思いまして」

「危険ですから民間人は下がっていてください」

「危険も何も、グリフィンの生態ってほとんど分かってませんやん。とりあえず映像残しておいた方がええんとちゃいますか?」

「それはそうですが…」

「お邪魔はしまへんって。それより映像はプロに任せるって事で。協力させてくださいよ」

「で、独占取材をさせろ、ですね?」

「お役に立ちまっせ」

「……お言葉に甘えますか。くれぐれも注意してくださいね」

リューはケインと握手を交わした。

「しかし、何を喋ってるんですかね?」

「そう言えば、メリーはんのシンクロを使えば盗み聞きできるかも……」

「本当ですか?」

「以前そんな事言ってましたさかい。呼びますか?」

「お願いしていいですか?」


ケインとリューの遣り取りの間もトシとグリフィンとの言い争いは続いていた。

よくよく見ると、争っているだけではない。肩を叩きあったり頷きあったりと、意気投合していたりもする。

しばらくするとまた言い争いが始まり、トシはスマホで誰かと話し出した。

どうやらタカを呼び出した様である。

タカはグリフィンに驚いたものの、すぐに会話に加わって論争が始まった。

「何をしてるんだ? 彼奴は……」

呆れながらもグリフィンに対する警戒を解くわけにもいかず、ケインはメリーの到着を待った。

「お待たせしてごめんなさい!

って、あれってもしかしてグリフィンじゃないですか?

ん? あそこにいるの、もしかしてトシとタカじゃないですか!?」

「これが普通の反応だわな……」

ケインは溜息をつく。

「なぁ、メリーはん。あんたシンクロ使うたら盗み聞きできるって言うてましたな?

彼奴らが何を喋ってるんか聞く事出来まへんか?」

「盗聴って犯罪ですよー。警察の人がそんな事やっていいんですか?」

「緊急事態だ。頼む」

「署長さんのお墨付きを頂いたって事で。

もう少し近づいてっと。

それじゃ、皆さんにも共有しますね」


…だから言ってるじゃないか。ストッキングより網タイツだって

…バカ! ストッキングに開いた穴から見える生脚がいいんだよ。網タイツであのエロさはでないだろうが

…何言ってんだよ、ガーターベルトならどっちもいけるぞ。『マゾっ娘バニーズ』のオープニング見てないのか?

…オープニングなら『チャイナ・スリット』も捨てがたいぜ

…何言ってんだよ。あれは露出しすぎだよ

…そうだよ。見えそうで見えない、でも隠しているのにふとした弾みで見えるってのがいいんじゃないかよ

…深いなぁ

…だろう?


「……署長、帰っていいですか?」

「……ああ、お疲れ様」

機動小隊の面々は先程までの緊急感もどこへやら。「帰還までが出動です!」との隊長の檄に、隊列を崩さず帰還の途につく小隊員達であった。

「ケインはん、あれどうしますか?」

「関わりたくないなぁ……」

「なら、ワテ直撃インタビューしてよろしいでっか?幸い話し出来そうですし、危険もなさそうでっさかい」

「……付き合いましょう。私も今後のためにグリフィンの生態を知っておきたいので」

「メリーはん、あんたも付き合うて。

主にトシとタカのお守りに」

「またですか?」

そう言いつつも付き合いの良いメリーであった。


「ねぇ、誰が一番か決まった?」

「「『隷孃学園』のマミたん、手ブラ黒パン、ガーターベルトで網タイツで!!」」

「「どアホ!!!」」

ケインとメリーの拳がトシとタカに落とされた。

「あんた達、グリフィンと何してたのよ!!」

「「友達になった」」

「あんた達ねェ……」

「いや、初めはビックリしたけど、気が合っちゃって」

「あ、コイツはグリフィンのルフィン」

「……なんか、麦わら帽被って海に出そうな名前ね」

「聖獣王に、俺はなる!」

「性獣じゃない?」

「否定できない…」

「「否定しろよ、そこは!」」

「なるほど、あんた達の友達だわ。

ところでその性獣王が何しにモキータへ来たの?」

すでにタメ口になっている。

「俺達グリフィンやドラゴンといった、人の言葉を解する魔獣は人化できるんだよ。で、人化してグヘへな遊びをしようと…」

何しにきてるんだ、コイツは!ケインは頭が痛くなってきた。

「どう言う事でっか?」

「だって、この手の遊びは人類の方が面白いからね。

結構みんな来てるんだよ」

「はい〜?」

「ウチの親父なんて『代官屋敷』のおみっちゃんに入れあげ過ぎて、金が足りなくなって尾羽を置いてきたって言ってたし」

「そう言えば、歓楽街のあちこちで「ドラゴンの鱗」だの「グリフィンの羽」だのが飾ってあるけど」

「多分、全部本物」

何やってるの、聖獣達って!

「なんか、知らない方が良かった気がする…」

「今回はもうすぐサキュバスが現れるようだし」

「「サキュバス〜!?」

最後に爆弾発言がルフィンから投下された。

次回、サキュバス登場!

グヘへな展開はあるのか?

なるべく早く投稿しますんで、乞うご期待!

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