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All blood  作者: GUILTY
プロローグ
7/14

六話

 今俺は、高らかに産声を上げている。

 体が、本能が指し示すように泣いている。

 自分が産まれたことを知らしめるように、大声を上げている。


 が、正直とてつもなく恥ずかしい。

 赤子が泣くのは普通だろうが、中身は四十のおっさんだ。

 この歳で派手に泣き叫ぶのは、色々精神面にダメージがある。

 しかも周りには助産婦の方だろう人等がいるので、羞恥プレイ以外の何物でもない。


 このままでは確実に黒歴史になるので、なんとか泣き止もうとしていると、白い布に包まれて、持ち上げられた。

 俺を持ち上げたのは母親らしく、優しく抱きしめられた。

 すると突然、身体の周りに白銀色の光と、白金色の光が溢れた。

 突然のことだったが、俺はその美しい光景に目を奪われていた。

 光はしばらく周囲を漂い、そのまま俺の体に吸い込まれていった。


 その幻想的な光景を不思議に思ったのは俺だけらしく、周りの人達はてきぱきと片付け等をしている。


 やはりなんとなく察してはいたが、ここは俺の常識が通じない場所らしい。

 幸い、いつの間にか泣き止むことに成功したみたいなので、周囲の確認から始めよう。



 まず、自分の事から。目は見える。音も聞こえる。頭は動かせる。腕は四本動かせいえぁい!?

 腕が四本ある!?ちょっと便利そうだが、俺は果たして人間なのか?

 足は二本。しっかり動かせる。ただ、足に触れているのは、どう考えても尻尾だ。さらに背にはおそらく、感覚からして翼がはえている。


 なるほど、俺は悪魔に生まれ変わったのか!

 というかそうとしか考えられないよこんなの。

 俺の顔、山羊じゃあないよな···?


 気を取り直して周囲の確認。

 目の前で俺を抱きしめているのは母親だろう。蒼い瞳に、長い金髪。整った顔立ちの美人で、青白い捻れ角が左右に二本。口から覗く舌は蛇みたいになっている。


 うん、確実に人間じゃないね。

 というか親に角が生えているなら俺にも生えているんじゃ···。

 だとしたら本格的に悪魔だよ。ほんと、どうしてこうなった。


 他の人たちも、体表が鱗でおおわれていたり、角や羽が生えている。

 なんか目が八つある人とかもいる。


 うん、夢が叶ったかも。

 お望み通りファンタジーだ。

 だけどあまり喜べないのは、俺が人間じゃないからだろうなぁ···。

生まれた直後に目を使える異常に気がつかない主人公。

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