四話
そろそろ状況を進めないと···
言語を解読し始めてはや二週間。
といっても、寝た回数を数えているだけなので間違いなく実際の時間とはずれているだろうが。
この身体は幼いせいか、どうやら物覚えが良いようだ。
実は既に、簡単な会話ぐらいは聞き取れるようになっている。
そのお陰で、またいくつかわかったことがある。
例えば、自分の名前だ。
俺が男ならシリウス。女ならシルヴィアだったらしい。
だった、というのは、既に性別がわかっているからだ。
両親が俺に声をかけるとき、『シルヴィア』としか呼ばないのが証拠だ。
そして、もうひとつ分かったこと。
それは俺が、どんな家に産まれることになるのかだ。
できればそれなりに良い家に産まれたいなと思っていたのだが、どうやら俺は、混血らしい。いわゆるハーフだ。
正直、だからなんだという気はするがとにかく、わかっていることはそれくらいだ。
まだまだ、この言葉を良く理解していないな。
まあ、予習としては十分だろうだろう。
今日は疲れたから、もう寝るとしよう。
────────数日後
緊急事態だ。
俺、もう産まれる。
主人公はまだ聞き取れない事の方が多いです。