表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
963/1260

「ほころび、ほどけ、」



「……イグニトリオ。アルテアス。ディノバーツ。そしてここに集まったかつて貴族だった者達よ。先にいておく――――今の演説を聞いて、少しでも心揺らいだ者(・・・・・・・・・・)はいるか(・・・・)?」

「いるワケないッッ!!!!」



 マリスタがえる。

 だが本当にそうだろうか。



 アルクスの目が光る。

 ギリート、シャノリアはともかく、集った者達の中には幾人か――既に飲まれて(・・・・)しまっている者がいるような気がする。

 恐らく、そのような者に目星をつけているのだろう。



 ノジオス・フェイルゼインなる小男の狙いは貴族をけることだけではない。

 「貴族が裏切るかもしれない」という疑念を、「平民」に抱かせること――この国難に、リシディアの人々の分断をあおること、団結をさまたげることが主目的だろう。

 そして――――状況は昨日より、だいぶ悪くなっているようだ。



「あの……兵士長。今みたいな映像が魔視機テレビで流れたってことは……」

「…………そうだ」



 切迫せっぱくした表情でおずおずと話しかけたロハザーに、学生たちを一通り見渡してからガイツが応じる。



「奴らは既に、放送局をも陥落せしめたということだ。その他放送局もすべて放送を停止している。王城おうじょう以外をすべて落としたという奴らの言葉を、ひとまずは信じざるを得ない」

「くそ……!」

「だが悪いことばかりではない。悲観するな、ロハザー・ハイエイト」



 名を呼ぶのはペトラ・ボルテール。



「あの映像からわかることはまだある。どうやら奴らは、正当性を主張して(・・・・・・・・)王位にきたがっている。つまり――――むやみやたらに国民を傷付けることはしないということ」

「! じゃあッ、」

「ああ。私達の家族は、ちゃんと生かされている可能性が高いということだ」



 数人が、息を吹き返すように深く呼吸するのが聞こえた。

 ペトラは口元に笑みを浮かべ、更に続ける。



「ここにはアルクス、義勇兵コース、そして教師陣を含め、実に様々な境遇の者が集まっている。だからこそ、先の映像で悪の親玉(・・・・)が放った言葉は最大限の効果を私達に与えている」



ペトラが歩き、ロハザーの――集まった者達の肩に手を置きながら、その間を通り抜けていく。



「焚き付けられた貴族だけではない。これまで貴族にしいたげられ憎み合ってきた貴族以外の者達や、現リシディア王朝に疑問を持っている者。そうしたすべての者達の分断を煽るためにこそ、あの映像は全国に向け放送された。……でも私は問いたい。今ここに集まる私達は――――最早この程度の分断に(・・・・・・・・・・)引き裂かれる程度の存(・・・・・・・・・・)在か(・・)?」



 ――それぞれが、それぞれと目を合わせる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 何にも進んでない... さすがに進み具合が悪すぎるね。もっとテンポよく進んで欲しい。 1話の間に一切話が進まないというのはキツい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ