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「Interlude―11」



 少女には、きっかけが必要だった。

 茫々(ぼうぼう)とした世界を歩くための指針ししん。己の道を見定めるための入り口。自分を動かしてくれる、てこのような出来事や、存在。

 そしてマリスタ・アルテアスにとって、それは。



〝火に油を注ぐな。鬱陶うっとうしい〟



(ケイ。あんたはどうして、そこまでして……貴族の人の相手をするの?)



「……なに?」

「……テインツ君だけかなぁ、と思ってたんだけど。貴族の人って、みんなあんな風にえらそうなのかな?」

「……ううん。一部の人だけ」

「なーんだ。じゃあやっぱただの感じ悪い連中じゃん、カンジワルー。ケイだってきっとそう思ってるわよ」

「みんな、不安なんだと思う。変わってく世界が」

「だって、もう貴族制度が廃止になって二十年だよたしか。それだけ時間があったのに、そんなにみんな、その……変わってけないものなのかな?」

「分からない。でも、こだわる人とこだわらない人、いて。大変なのは、事実。……そのゴタゴタに、転校生のアマセ君が困ってるのも、事実。だよね」

「困ってるというか……あそうそう!! ねえちょっと聞いてよヴィエルナちゃん! あいつね、私がヴィエルナちゃんにつかまったの見て、『ウットウシイ』とか言ってたのよ!? 何なのよそれ、もうちょっとこう、優しい言葉とかかけてもいいと思わない?! 心配して助けに来てあげたのに!! 私がいなきゃどうなってたか!!」

「……そんなこと、言ったの?」

「言ったの!! もーマジ腹立ってきた!! ちょっとイケメンだからって、いや、かなりイケメンだからって調子に乗って!!」

「アマセ君……助けてほしく、なかったって。こと、なのかな」

「え……あ。えっと。……そこ、私も今疑問に思ってて」



 予想外の返しに、マリスタの動きが止まる。



「自分だけで、切り抜ける。つもり、だったのかな」

「う、ううむむ……あいつ、テインツ君をのしちゃったらしいしなぁ。今回もそれでなんとかしようとしてたのかな」

「たぶん、違う。訓練施設以外での魔法、ダメだって、彼。知ってたみたいだから」

「ますますワケわからん……ハッ、女子に助けて欲しくなかったとか! うわプライドたかウザっ」

「アマセ君って。女子に借りを作ったり、とか。出来ない人?」

「え?…………あー。それは違う、かな。私、あいつにドでかい貸し、作ったばっかりだし」

「じゃあ、違う?」

「……かも……? ああもう、ますますワケわかん――――――」



〝無駄に波風立ててないで逃げろバカ野郎が〟

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