表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
947/1260

「血の王命」

「わたしココウェル・ミファ・リシディアは、プレジアの助力によりリシディアが守られた場合――――プレジア擁する義勇兵集団『アルクス』を、国軍に準ずる(・・・・・・)立場へと引き上げると約束します」

『ッ――――!!!?』

貴方あなたの恐れている『違法集団とのそしり』は、これで受けることはなくなります。国家の危機に働いてくれた貴方達を、わたしが守ります。地位と名誉にけて」

「……殿下、我々の懸念はそれだけでは――」

「解っています。プレジア襲撃の件についても、わたしの知ることは洗いざらいお話ししましょう。火急の時です、構っていられません」

「…………わかっておいでなのですか? 殿下でんか



 顔を下げたまま、オーウェンが口を開く。

 床に着けられた拳が固く握られるのを見た。

 これは――信用されていないな。



「恐れながら申し上げます、殿下。『王命おうめい』とは、このリシディアという国家にとって最大の形式的効力を持つ命令です――決死して軽々(かるがる)しい気持ちで連発していいものではありません。一度出した王命は冗談では済まないのです」

「無論です。しかしわたしは王族ではあれ王ではない身の上、信用できないのでしょう」

「そのような――」

「ですから契約を行いましょう。魂縛証文(ギアス・ブルーフィ)を用意します」

『な――!!?』



……ギアス・ブルーフィ?



「で――殿下。貴方は血の契約を結ぶ意味を、」

「これでプレジアの懸念は払拭ふっしょくされたはずですね。では改めて王命を発します、プレジア学長オーウェン・アルテアス。わたしを王都へ連れて行きなさい。そしてリシディアを守るため、プレジアの持つ出来る限りの戦力を貸しなさい。義勇兵団アルクス、それに――望みとあらば(・・・・・・)その候補生こうほせい達も」

「!」

「――――」

「そ――それはお許しください殿下ッ! アルクスだけでなく義勇兵コースの学生達もだなんて」

「望んだ者のみ、と言ったはずです。それに――低学年の者はともかく、最高学年の候補生達がリシディア国軍兵にも劣らない実力者(ぞろ)いであることは先の戦闘(・・・・)が証明していると考えます。どうかよろしくお願いします」

「殿下……!」

「…………つつしんで、お受けいたします。殿下」



 オーウェンが顔を上げてココウェルをあおぎ見、再び深く頭を下げる。

 「ありがとうございます」と、ココウェルも目を閉じ小さく頭を下げた。



「――では、さっそく準備に移ります。失礼させていただきます」

「お願いします。今ある戦力を最大限編成し、出発の日時等、委細いさいが決まったら知らせてください。今度こそすぐにです。いいですね」

「……御意ぎょいのままに。ボルテール兵士長、殿下に魔紙ましを」

「……。承知しました」

「貴様も即刻そっこくここを去れケイ・アマセ。教室で大人しく連絡を待て」

「よい機会です、この学生には少し話があります。あなた方は準備を急いでください」

「しかし――」

「急ぎなさいッ!」



 ……オーウェンは、王女でなく俺をにらみ付け。

 ペトラと共に、扉の向こうへ消えていった。



「……おい、ココウェル…………ッ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ