表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
934/1260

「底なしに沈む根」

「……ちょっと待ってくださいよ。そりゃあつまり、」

「『クリクター・オースはリシディア王国とつながっている』。そもそもそれが奴にかかった容疑だろう?」

辻褄つじつまが合わんでしょうがよっ」



 ファレンガスが席を離れ、学長席へと近づく。

 何人かの教師が立ち上がり手をあげ彼を制止しようとするも、ファレンガスは止まらない。



「確かにクリクターのおやっさん(・・・・・)に都合のいい展開ですよ、この流れは。国が危機に陥ったことで、おやっさんの件はこうして話題にしなきゃ、有耶無耶うやむやになってってもおかしくない。おやっさんと繋がる誰かがその流れを作ってる、そう言いたくなるのもわからなくはない」

「そうだ。更にあの男は『無限むげん内乱ないらん』直前まで王国騎士おうこくきしを務め、国の中枢ちゅうすうに入り込んでいた。何をどう疑われてもおかしくはない」

「ですが状況を考えてくださいよ! 今国はつぶれかかってんですよ? まさかおやっさん一人の疑いを有耶無耶にするためだけに、国が滅亡を自演じえんしてるってんですか? おかしいでしょうよ!?」

「言ったはずだぞ。何をどう疑われても(・・・・・・・・・)おかしくないと」

「…………は?」



 ――ファレンガスの中で、考えたくない疑念が鎌首かまくびをもたげる。

 シャノリアが目をしばたき、動揺を隠せない顔で口を開く。



「……学長が繋がっているのは、今リシディアを襲って(・・・・・・・・・・)いる勢力(・・・・)だと言うんですか?」

『!!!?』

「――状況証拠でしかねえでしょうがッ!」

「疑われてもおかしくはないのだよ。なにせこの国は、一度陰謀(いんぼう)によって滅びかけているのだから。二十年前にな」

「……陰謀」



 「誰の」。

 教職員の中で最も若年じゃくねんであるシャノリアでさえ、そうは問わない。

 問う必要が無い。



 二十年前。

 公衆こうしゅうの面前で王女を殺し、国を大乱に陥れた勢力――――



「――そうだ。私はこの一連の事件に、魔女の国ツァルハの影を見ずにはいられない」

「話が飛躍ひやくし過ぎています、学長」

「はっ。陰謀論者いんぼうろんじゃがトップに座ると大変だな、こりゃぁ」

「ザードチップ先生も言葉をつつしんでください、おかげで最も大切な話が一向に進んでいない。どれだけ遠回りをすれば気が済むのですか。話を前に進める気がないなら退席をお願いします――学長、あなたもです(・・・・・・)

「…………まあ、この辺にしますかね。すんませんでしたね皆さん。私の話はそう……また、すべてが片付いたあかつきに」

「は。危機にある親友(・・)をかばわずにはおれんか。マーズホーン」

「二度言わずともご理解いただけると信じております。校長」

「……。いいだろう。その浮浪者が矛を収めるならこちらも『得物』を構える理由は無い」



 糸目で表情の読めないアドリーを一瞥いちべつし、オーウェンは椅子に座り直した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 大貴族がゴミしかいないことがはっきりしたな。 シャノリアは思考力の無いバカだし、オーウェンは権力に浸かりすぎて思い上がり、自分の好き勝手やっている。教師陣も含めてどいつもこいつも頭が悪い。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ