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「対立、」



「そうだ!! ぶちのめしてやってくれ、アルテアスさん!!」

『!?』



 聞き覚えのない声が渦中かちゅうに飛ぶ。

 見ると、そこにはやはり見覚えのないグリーンローブの生徒。風紀委員の腕章わんしょうを付けてはいない。

 少年は恐れに引きつった顔で体を震わせ、大柄の風紀委員をにらみ付けている。



「い……いい加減ウンザリなんだ!! お前達貴族だったやつら(・・・・・・)なんかに、いつまでも押し付けられるようにして生きるのはさ!! 貴族制度はもうない。今もその制度に俺達を当てはめてるのは、お前らお高くとまったボンボン共だけだろ! そんなものに縛られるために俺は――――俺たちはプレジアに来たわけじゃないんだ!! アルテアスさん、頼む! そいつらこそ、この学校から(・・・・・・)追放してくれ(・・・・・・)!!」

「ちょ――ちょ、っと待って! そんなことがしたくて私は止めに入ったんじゃ」

「オイオイ、ふざけてんじゃねぇぞ『平民』共ッ!!!」



 大柄が大声を張り上げ、発言した少年に怒号どごうを吐き散らす。



「テメェら、誰のおかげでこの学校が出来たと思ってやがる!! それも考慮出来ねぇ貧相な頭しか持ってねェくせして、我々の前でいっぱしの口利いてんじゃねぇッ!!!」

「だ――だ、黙れッ! 俺は言うぞ、俺は――――俺はもうお前たちの特権を認めないッ! 何が風紀委員だ、貴族クラブの末端会員のくせに!」

「ンだとコラァッ!! てめぇどの家の出だ、名乗りやがれッ!!」

「セイカード家のケイミーよ!!」



 群衆から、黒い肌を持つ一人の少女が歩み出る。その目は目の前の大柄の男に怯えながらも、決然とした輝きを放っていた。

 よくよく見てみれば、ただの野次馬だった群衆の一人一人の目の色が、先程までと明らかに変わってきている。ある者は悲壮ひそう、ある者は憤怒ふんど。ある者は羨望せんぼう、ある者は敵意てきい、ある者は殺意さつい――――およそ外野がいやでは在り得ない感情をたたえ、その視線を二人の風紀委員に向けている。

 怒声を撒き散らす大柄に対し、細身はまるで災害に巻き込まれた被害者のような顔で辺りを見回している。自分が今、どういう状況に置かれているのか解っていない様子――――つい一瞬前までの俺と同じ目だ。



「彼の言う通りよ! 傲慢ごうまんも大概にしなさい、貴族共!! 私たちはあなた達の奴隷どれいではない! 過去どんなことがあろうと、私達は私達。貴族と『平民』の別なんて、私達には関係ないわ!!」

「そうだそうだ!!」「引っ込め厚顔こうがん野郎共!」「俺達の自由を返せ!!」「もう貴族制度は終わったんだ!!」

烏合うごうの衆の分際で――――身の程をわきまえないか『平民』ッ!!!」

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