表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

858/1260

「灯明――――真相への一歩」



 ――――ココウェルの表情が変わる。

 この一言ですべてをさっせたか。存外ぞんがい地頭じあたまはいいのかもしれんな。

 そして……当の襲撃者頭目はまゆ一つ動かさず、か。




◆    ◆




「考えてみれば当然のことでしょ? 襲撃者の隊長(王女の騎士)にとって、姫を抱えてプレジア中を逃げ回るメリットなんか何一つない。僕らが王女を捕らえるつもりだと解った段階で携転石けいてんせきを使って転移、子石こいしの全てか親石おやいしを破壊してしまえば、この作戦は完全に破綻はたんする可能性だってあった」



 茶の前髪を揺らしギリートが言う。

 その言葉に顔面がんめん蒼白そうはくになる者がいる中、ガイツは冷静に首を横に振った。



魔動石まどうせきのある部屋は行き止まりだ。学長がくちょうが管理する特別な携転石けいてんせきでしか移動することは出来ない場所だ。そんなところで親石を破壊してしまえば、それこそ奴らは逃げられなくなる」

「結果論ですよそれ。敵の転移先が魔動石の部屋だと判明――いや今も確定したワケじゃないですけど。判明したから言えることですよ。もしこれが別の場所だったら、彼らはまんまと逃げられてたかもしれないんです」

「――待てイグニトリオ。とすると奴らは、」

「そうですボルテール兵士長へいしちょう。問題になってくるのは、『なんで黒騎士がそんなことしたのか』ってことですよ。だってクソ無駄なことしてたわけでしょう、一国の姫がかたわらにいるのに。それは何故なぜか」

「回りくどい言い方してる場合かよぼっちゃん」



 トルトが苛立いらだちを隠さず言う。

 ギリートは黙ってトルトを一瞥いちべつめずらしく言い返すことなく話を前に進めた。



「答えは僕らで考えるより……聞いちゃった方が速いんじゃないかと思うんですよ」



 ギリートが、拘束され一塊ひとかたまりにされた襲撃者達に近寄り。



 その白い仮面を、取り去った。



『!!』



 ――現れたのは、誰も面識のない男。



 仮面に収まっていたとは思えないほどいかつい、吊り上がった目をした大きな顔に無精ぶしょうひげ。

 男が苦々(にがにが)しげに顔を伏せたのを見て、ガイツは大きく息を吐きながらギリートをするどにらんだ。

 



「馬鹿者がッ!! 面の下など一番敵が見られたくない所だろうが、外した途端とたん発動する魔装まそうでも仕掛けられていたらどうするつもりだったッ!!」

「ああ、それを警戒してたんですかなるほど、そりゃ悪いことしましたね。でも大丈夫ですよ、たぶん――――そうですよね。襲撃者さん」



 男は答えない。

 詰問される仲間を、他の襲撃者も誰一人見ていない。

 そんな彼らに、ギリートはあわれみを込めた眼差しで、



「……忠実ですね、貴方達は。でもだからこそ、裏切者の隊長(・・・・・・)を許さないで欲しいんだ」

『――――――!!!!』



 真に倒すべき彼らの敵の名を、告げた。



『!?――』



 襲撃者達に走った動揺どうようを察知した少数の者達が、残らず困惑こんわくする。

 ギリートの放った一言を――――ナタリーを除いた誰一人、理解することが出来ない。



「イグニトリオ……お前は」

「やっぱり、そうなんですね。皆さん、実は知らなかったんでしょ。プレジアに王女が来て(・・・・・・・・・・)()ことなんて」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ