表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
839/1260

「ふたたび闇に沈むのか?」



 静かな声が、嵐をも貫き敵軍へ動揺どうようを伝える。

 動揺の伝播でんぱは否応なく、受けたる者の動きに影響を与えるものだ。



「はァッ!!」

「バレバレだよ!!」

「動きがニブいぜぇッ!」



 ガイツの頭部へ目掛け拙速せっそくに押し寄せた黒の群れを、テインツとビージ、ペトラが押し止める。



「お前達二人でそいつをやれ!」

『了解』ィ!」



 先んじたビージが両手に砂塵さじんの光をまとい、襲撃者の黒煙こくえんをまとった手と短く肉厚な剣を受け止め――――彼の肩口かたぐちから、テインツが敵へ人差し指を突き出した。



仮初の(パティ)――」



 反転。

 瞬時に背を地に倒した襲撃者につられ動いたビージがテインツをはばみ、仮初の就縛(パティゲルト)弾道だんどうふさぐ。



 数多あまた鈍音どんおん



「ぐッ……ぶ……!!?」



 ビージの顔面に力がこもり――敵にり飛ばされる。



「!? ビ――」



 ――テインツは視界のはしへと消えていく友の身体から、いつか感じた闇の魔波まはが揚がるのを見た。



暗弾の砲手(ダークバレット)――魔力回路(ゼーレ)活性化かっせいからったのか!)



 少年の眼前に。



 黒煙が、迫る。



「ッあ――熾きろ(アプシオン)!!」



 発光した赤い宝玉が爆炎のたてを展開。

 しかし黒は既に背後。



〝いや……やめて、やめてぇぇええええぇぇぇっ〟



「――――クソッ!!」



 振るわれた黒剣こくけんを受け止める。

 敵の左手が黒煙をまとう。



「っ神火の群舞(フォルゲイツァ)!!」



 火属性ひぞくせい中級ちゅうきゅう魔法まほう近距離きんきょりで発動。黒煙を相殺したテインツは爆風に足を取られ、幾度いくども後転しながら吹き飛んだ。



「く、っあ……!」



 じくりと痛むてのひら

 だがそれは、



〝……戦えない女の子だぞ!!!〟



 決して、先の神火の群舞(フォルゲイツァ)が原因ではない。



(……なんてザマだ。怖がってるのか、僕は……!!)



 視界に敵がいない。



「ッ――!!? う、あ」



 魔光まこう

 とっさに展開した障壁に、テインツの右から迫った黒煙の手がさえぎられたのである。



 テインツの背筋に走る冷や汗。

 動く眼球。



 広げられた真っ黒な手が、視界を闇に染め――



「飲まれるな。馬鹿者」



 ――間欠泉かんけつせん



 眼前の闇を裂くように降った水の刃(・・・)がテインツの足元に突き刺さり、清涼せいりょう飛沫しぶきが彼の顔をらした。



 やがて彼を守る女神のように、銀髪の兵士長へいしちょうは地に舞い降りた。



「……ボルテール、兵士長」

「捨てろ。テインツ(・・・・)

「え――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ