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「PHASE20:自軍 ヲ 優位 ニ 導ケ」

『了解!』



 戦士たちがぶ。

 襲撃者達は、それに合わせる他はない。



「マリスタ、今のうちに」

「うん!――そっちはお願いね、ヴィエルナちゃん!」

「らじゃ」



 襲撃者達を見たまま、小さなサムズアップだけを寄こすヴィエルナにニカリと笑い、マリスタは第二層にある本部へと急ぐ。

 


「――バンテラス君。実験(・・)、開始して」

「了解! やるぞみんなッ! 第一弾だいいちだん掃射そうしゃッ!!」



 かなめの御声(ネベンス・ポート)で合図を受け取った、参加者を装う(・・・・・・)アトロ・バンテラスが周囲の義勇兵ぎゆうへいコースの者達に命じ――――襲撃者に向け、一斉に魔弾の砲手(バレット)掃射そうしゃする。

 流星群りゅうせいぐんのように飛んだ琥珀色こはくいろの弾丸は真っ直ぐに襲撃者の一グループへ着弾。派手な爆風をらす。



 数発被弾(ひだん)し、やがて爆風から逃れてきた襲撃者達はアトロらを気にする素振りを見せるも――――



「――第二弾、掃射ッ!!」



 またも同じ襲撃者の一団へ放たれる弾丸。

 奇襲でない弾丸はさすがに襲撃者をとらえきれず、第二弾は全て避けられた。



 だが。



(でも奴ら……全然こっちを狙ってこない!)



 どれだけの数を撃ち込もうとも、襲撃者達は一般客(かれら)を狙ってこようとはしない。

 別のグループが襲ってくる気配もない。

 向き合って戦う風紀委員ふうきいいんやアルクスを主とするメンバーがどれほどのすきを見せようともだ。



「…………間違いないと思う、」



 アトロの声が上ずる。



 何もかもが。

 何もかもが――――自分達の想定通りに進んでいるのだ。



「奴らは……襲撃者は一般人を傷付ける気は無い。計画通り(・・・・)、事を進行して構わない!!」

『――信じましょう、あなた達の見解を』



 本部のナタリーがそれを受け、本部全体に合図を出す。

 リアとケイミーが動き出し、ナタリーが報道委員に指示を飛ばす。

 校内映像が襲撃者を映したものに切り替わる。



「ん?」「なんだよあいつら」「なになに、もしかして追加要素!?」「へー、まだあんのか」「こっからはガードヒーロー見るだけのエキシビションだと思ってたけどな」「でもまだ敵いるぜー!?」「新手ね、おもしろいじゃん!」「いやこいつらだけでもだいぶキツいって!」「だってアマセ君もまだ出てないしねえ」



『皆さん、聞いてください! 今入った情報によると、黒騎士の仲間が王女を守るため、増援に駆け付けたとのことです! 敵の数は多く、このままでは形勢を逆転され、王女を再びさらわれてしまいます!! そこで……皆さんにも敵の増援であるこの黒装束の集団を迎撃げいげきして欲しいのです!』



『!!』

「よそ見してるヒマあんのかよッ!」



 放送に気を取られた襲撃者を掌底しょうていの要領で突き飛ばすビージ。

 そこに飛び込み追撃を加えていくもう一人の風紀委員。ビージはすかさず間合いを詰めその風紀委員と共闘、三人で一人の襲撃者に対応する。

 これがこうそうし、黒装束の一団は分断されかかっていた。



(三人がかりとはいえ、一人でもテインツと互角ごかくの戦いをしてみせた奴らだ。しかも喰らえば終わりの記憶抜きの技もある。……なんてことを考えながら、更にケガも負わせず捕まえなきゃならねえってのは……)



「どうにも……戦いにくいなッ!!」

「集中を切らすな」

「う――おっ!?」


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