「PHASE12:敵 ノ 退路 ヲ 封鎖 セヨ」
◆ ◆
「ちょちょちょちょ、ちょっ……なんなのアヤメこれ何なんか召喚獣共がっ、こっちにっっ!!」
「――見つかりましたか。失礼を、王女」
「きゃうっ!?」
アヤメが抜剣と同時にココウェルを小脇に抱え、脱兎のごとく走り始める。
細長い体の召喚獣が数体、まるで流水上を流れるようにぐにゃぐにゃと、二人を追跡していく。
『みなさん! ビッグニュースです!! 今入った情報によりますと、行方を捜索中だったお姫様とそれをさらった闇の騎士の所在がたった今! 明らかになったとのことです!!』
『!!!』『おおっ』『なにぃ!?』「はやーい誰が見つけたのー!?」
『スクリーンをご覧ください!』
「! あ――アヤメッ!」
ココウェルの指差す方向。
そこでは巨大スクリーンに、お姫様とその騎士のリアルタイム映像が表示されていた。
「――――あれか」
強化された視力で、アヤメが空中を飛行する記録石を捉え――――瞬転空。
「きゃあっ!!?」
一瞬で記録石に肉薄、最小限の動きでその黒い刀身を持つ刀が閃き――両断した。
『!!』
本部の者達がすぐに異変に気付く。
同時に各層でも映像が途絶え、スクリーンに何も映らなくなる。
「ナタリー、記録石が――」
「ベス、予備一号を第二層A圏に」
「はーい」
「――仕事速いね。助かる」
「いいえそれほどでも、風紀委員長。ティヒス、保険で予備三号と予備十五号もスタンバイを」
「了解だよ」
本部にて記録石の管理を担当していたナタリーは微動だにせず、冷めた目で本部のスクリーンを見つめたまま指示を飛ばす。
笑ったリアとアドリー以外は、冷めきっているナタリーの表情にどこか薄ら寒さを覚えた。
「まずいね。彼女、転移魔石に向かってる」
「――陣付近の警備に連絡、急いで」
「は――はい!」
サイファスとリアの言葉で息を吹き返す本部。
報道委員の一人が別の記録石で魔法陣付近を捉える。
「警備はH班、ディノバーツ先生の所です!」
「かなめの御声」
「はい。――ディノバーツ先生、聞こえますか? コーミレイです」
『敵の知らせね。もう魔波は関知してる。こっちも英雄の鎧を使ってるわ』
「結構。応援を向かわせますので撃退、陣の防衛お願いします。お姫様にはノータッチで。学生保護班にも連絡します。それと、」
『何?』
「…………何か違和感感じたら教えて下さい」
『い――違和感って、』
「先生! 敵を確認!」
『!!』




