「Interlude―101」
「もーふざけないでよふたりともー!!」
「パフィラがそれ言っちゃうの……でも、そうですね。私もあなた達を信用できません。警戒するなって方が無理な話ですよ。アルクスはまだアマセ君を捕らえたままなんですから」
「……そこでまたアマセか。奴はよほど信用できる奴のようだな」
「彼が信頼できるという話ではありません。アルクスが信用できないって話です。話をすり替えないでください」
「……そうだな。大丈夫だ、不測の事態でも起きなければもうここには来ないよ。他にも確認したい所があるのだ、これで失礼する」
「信じたいんだけど!」
パフィラの言葉に、ペトラが足を止める。
「教えて欲しいんだけど、兵士長さん。なんでこことか、他の所を見回ったりしてるの?」
「ローブを貸してくれたのがあなただというのも、私はまだ信じられない気持ちでいるんです。まるで」
「私達に協力してるみたいよね。アルクスを裏切ってね」
「…………勘違いしてもらっては困る。私は、この手で助けられるだけの人をみんな助けるために、アルクスに所属しているに過ぎん。組織を守るために、助けられる人を切り捨てるなど本末転倒だ」
ペトラが映像を見上げる。そこにはちょうど、タタリタの仲間クヲンとして、召喚獣と戦っているエリダ・ボルテールの姿。
「それをあいつに、思い出させてもらったよ」
「でも、でも……それじゃ他のアルクスにも働きかけてよー!」
「守りたいものが変わってくるんだ、大人になるとな。それを矯正することなんて私には――」
『兵士長、聞こえるか。ボルテール兵士長』
「――ガイツ?」
ローブから聞こえる声にギョッとするシスティーナら学生達。
ペトラは当然のように「かなめの御声」とつぶやき、ローブを光らせて念話を開始する。
「単独行動だったな、こんなときにすまなかった。処罰は受ける。それで――」
『我々は学生らに協力して当たることになった』
「――――え?」
システィーナとパフィラが顔を見合わせる。
パーチェが目を見開いたことには、誰も気付かない。
ガイツは続ける。
『お前の動きはイフィ・ハイマーから聞いている。想像するに、作戦に不備がないかを先んじて確認してくれていたのだろう。ローブの無断使用共々、今回のことでお前の責は問わない』
「…………」
『……生徒会長ギリート・イグニトリオ、暫定風紀委員長リア・テイルハートから作戦の詳細について説明を受けた。それが最も妥当だと考えただけのことだ。何か異論があるか』
「……ない。ない」
『了解。確認箇所等、追って報告してくれ。確認が済み次第、隊員らと共にプレジア各層にて遊撃を行ってほしい。編成は後程こちらから伝える』
「了解だ。……ありがとう。兵士長」
『……勘違いするな。守れるだけのものを守ろうとしている。それだけのことだ』
念話が途切れる。
パフィラが彼女の前に飛び出し、頭を下げたのはその直後だった。
「ありがとうございますっ!!!!」
「……ふふ。礼を言うのは事が済んでからにしろ、学生。それまでは――ここを頼んだ」




