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「PHASE3:群衆 ヲ 物語 ノ 一部ト セヨ」



「え? 誰タタリアって」「タタリタだよ!」「『英戦えいせん魔女まじょ大英雄だいえいゆう』の!!」「ああ、あの劇の……え、本物?」「アルテアスさんじゃん」「バッカ、そういう演出だろノッてやれよ」「アルテアス先輩やっぱかわいい……!」「ねー!」「へー! 『味方』ってこういうことだったんだ」「アツいねこれはー!」「でも知らない人もいるよね絶対」「まあ有名な神話だし」「何言ってんの! あの劇もうプレジア中で人気なんだから!」「ウィザードビーツ(ウィザビ)効果だねー」「え、じゃあ他の層じゃもしかして――」



『ペルドさんペルドさんっ!! ホントに! ホントに来てくれましたよほらっ!』

『おお、各層の記録石(ディーチェ)が映像を映してくれているのか! 本当だ、あれは間違いなく英戦の魔女!! 諸君しょくんも見てくれたまえ! 各層に一か所ずつ、プレジア全域を映し出すパブリック・ビューポイントが設置されているぞ!』

『詳しくは事前配付したチラシをチェックしてくださいね!!』



「ほんとだ、あそこに映ってるぞ!」



 誰かの一声が、その層にいる群衆の目線を一か所に集める。

 視線の先には、各層に設置されたパブリック・ビューポイント。

 魔石の放つ光によって浮かび上がる映像に映るのは、



「っしゃァっ!! やってやるわよカンデュオッ!!」

「熱くなりすぎるなよクヲン。君はいつもそうやって――」

「まあいいではないか、カンデュオ。今はそうして士気を高めておかねば。勝てるものも勝てなくなろう」

「同感ですな。さあ! 共闘する人と神の力、存分に見せつけてやろうぞ!」

「共闘などという関係に興味は無いが――――こやつらが我が失敗作にも劣る愚作ぐさくであることは解る。これ以上柱々(われわれ)の汚点を増やす訳にもいくまい。――――突っ立っているだけも退屈だろう、失敗作ども。少し力を貸せ」



 クヲン。カンデュオ。キュロス。プデス。そして創世神そうせいしん、ゼタンの姿。

 群衆が再度興奮に色めき立つ中、ゼタンは映像越しに全ての人々に語りかけて手を伸ばし――

 ――映像が切り替わると同時に。



 義勇兵コースの学生たちが、何やら大量の藍色あいいろのローブを手に、各層風紀委員のかたわらに降り立った。



『ここからは私が説明するね!!』



 各層の映像が、第二層中央の投影映像を映す。

 そこに映るのは、すっかりライブ衣装に身を包んだリリスティア・キスキル。



「うおおっっ!!? リリスちゃんじゃん!!」「マジかよこのイベントオールスターじゃん!」「おっもしれえ!!」「マジマジ!? リリスちゃんとも一緒にたたかえるの!?!?」「ライブ見れなかったからうれしぃ~!!!」「俺リリスちゃん守るわ!!!!」



『それではいよいよゲーム開始(・・・・・)です! チラシにある通り、これから参加者の証と安全対策を兼ねたアルクスのローブの抽選ちゅうせんを行います! 参加を希望する十歳以上の方はこれから五分後、スタッフの合図で同時にローブへ向け「運搬の名手(ラバテイン)」の魔法を使っていただきます! 見事手元にローブを引き寄せられた人はお願いします、私達「英戦えいせん魔女まじょだい英雄えいゆうだん」を援護し、プレジアを守る戦いに参加してください!』

『なお不正行為を発見した場合は風紀委員によって厳正な処分が下されますのでご注意をー!』



 リリスティアのよどみない解説とケイミーの補足ほそくが全校に響き、



『十分な数のローブを用意してますので、ぜひ……参加してくださいね♡』



 ――歌姫の放ったトドメ(・・・)の一言が、聴衆の気持ちを一息にイベントへとかたむけていく。



「うっしゃ! それじゃあ――――いくわよ、みんなっ! 援軍えんぐんが来るまで、敵をおさえるのよッ!」


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