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「Interlude―7」




◆    ◆




「マリスタっ!! あ、あ、あ、ああああんた!! こないだアマセ君の部屋にととととと、泊まったというのは本当なのっ??!?」

「なんでエリダみたいな大して私と仲良くないヤツまでそのこと知ってんのよ??!!?」

「仲良くないとは何よっ!」

「いだだだ、髪引っ張るなヤンキー女!!」

「うっさいわね万年レッドローブバカのくせにっ!」

「むっきぃぃいい!! あんただってたった一個上なだけのグリーンローブのくせに!!」

「なによやんの万年まんねん筆記試験ひっきしけん最底辺さいていへん女ァ!!」

「やってやるわよ表出なさいよローブのした谷間たにま見せつけ歩くワイセツ女ぁぁっ」

りないわね、毎度……」



 いがみ合い、ほおを引っ張り合うマリスタと金髪の少女――エリダ・ボルテールを眺めながら、システィーナは何度目とも知れないため息をこぼした。

 ウェーブの強い金髪を持ったエリダがマリスタの頬からビッと手を離す。



「いっった!!」

「大体何考えてんの? 女子が男寮だんりょーに突撃するとかマジあり得ないんですけど。不純異性ふじゅんいせい交遊こうゆうなんですけどぉ~~~???」

「ふん、アレの何が不純異性交遊だか。むしろ真逆ですぅ純粋じゅんすい異性交遊ですぅ、もっと言えばただのベンキョウ会ですしもっともっと言えばベンキョウしてたのはケイだけですぅ~」

(あなたも勉強しなさいよ……)

「べ、勉強会って……どんなことしてたのさ?」

「シータが期待してるようなことはやってないよ。特に話すことも無いようなただのベンキョウ」



 興味津々《きょうみしんしん》な様子の小柄こがらな女子のハスキーな声に、マリスタが雑に答える。

 エリダが鼻で笑った。



「はンっ、保健体育ほけんたいいくのベンキョウでしたぁ~なんて言わないでしょね、おぉサム~い」

「あんたじゃないのよエリダ。どんなことって、アレよ。通訳魔法つうやくまほう翻訳魔法ほんやくまほうの練習」

「通訳と翻訳?」

「んー? でもリア、あれってそんなムズい魔術まじゅつだっけか??」

「そんなことないと思う」



 黒髪をかたより少し下でらす大人しそうなり目の少女と、茶色の前髪まえがみを上げてひたいを出した快活かいかつそうな少女がそう問答もんどうする。

 エリダが勝ちほこった顔でマリスタを見た。



「リアとパフィラの言う通りよマリスタ、いくらキングオブバカなあんたでも、あの魔術を教えるのにそう時間かかるワケないわっ」

「そうよ。だから三十分くらいで(・・・・・・・)教え終わった(・・・・・・)後は、ひたすらに反復はんぷく練習に付き合ってた」

「……三十分くらいで、終わった?」



 システィーナの言葉が、静まり返った女子の会話に波紋はもんを広げる。

 シータが顔を引きつらせて言う。



「それってつまり、そのさ、マリスタ……あとの時間は」

「ひっっったすらに、ケイの反復練習を眺めて、アドバイスして、あいつがそれを紙に書き込んでた」

「ちょ、え、じゃああんたその間……ずっと見てたの?」



 開いた口がふさがらない様子のエリダ。

 マリスタがどんよりした目でうなずく。



「分からないことがあったらすぐ聞きたいって言うから」

「か、帰ったりとか、しなかったの……?」

「帰してくれそうではありませんでした、シータ先生」

「んえー?……それ、ちょっちしんどくない?」

「すんごいしんどかったです、パフィラ先生」

「でもちょっと役得やくとくだった……?」

「はい。イケメンでしたリア先生。って何言わせんのよ?!?」



 次々と浴びせられる質問に律義りちぎこたえたマリスタがえる。

 苦笑して黙っているのはシスティーナだけだった。

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