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「無知の焦りか」

「んー、わかんない。でも作った人がスゴいのは分かるよね」



 わかんない、で済ませられることなのか、それ。

 世界中でバカ売れ、というのもうなずける。呪文ロゴスがこれだけ短いのだ、きっと開発当時は社会現象くらいにはなったに違いない。俺の世界で言うところのインターネットの開発にも似た大発明だったろう。

 魔法が工夫次第でこれほどに洗練せんれんさせられるというのなら、これはやらない方がどうかしている。戦闘にも大いに活用出来るではないか。



「ま、そのぶん効く範囲はんいの固定は自分でやらなくちゃいけないんだけどね」

「自分で?」

「そう。〝壁の崩壊(アンテルプ・トラーク)〟も〝虹の眼鏡インテルト・ラト〟も、ある程度の範囲でしか効果ないから。だから――こんなふうに。〝取り払え〟」



 マリスタが呪文ロゴスを唱えると、その白く細い指に赤い光が現れる。眺めていると、その光はやがて消えてしまう。マリスタが笑ってうなずいた。



「魔術の発生する座標ざひょうを決めることで、どこからどこまで効果があるのかを分かりやすくしなきゃ使いにくい、ってこと」

「……成程なるほど。その光はどこにでも発生させられるのか」

「んー。たぶん」

「今の場合、その人差し指を何かしら刺激されたら、魔術の効力もなくなるのか」

「んー? たぶんだいじょぶ?」

「効果範囲の保持にも魔力が必要なのか? 体感、どのくらい持続できそうだ?」

「ん、ん、んー……? わかんない、よく使うようになったのも最近だし」

「で、光はどう発生させればいい?」

「ちょ、ちょっと待って。そんな次から次へと質問されても、分かんないことには答えられないってば」

「あ……そうだな。悪い、少し気がいた」

「あ、う……や、頼ってくれるのは嬉しいんだけどさ」



 マリスタが困惑した顔で視線を外し、カップの茶を飲む。

 確かトルトの時も同じような顔をされたな。担任の時も。いい加減学ばなければ。



「悪かった。子細しさいは自分で確認するから、一先ひとまず発動方法を――」

「ホント、勉強熱心なんだね。ケイは」

「え?」

「私には真似まねできないなぁって…………もしかして何か目的とか、思い出したんじゃないの。実は」

「――――――」



 ――目的。



〝――――お前はどうしたい。圭〟



「……あるわけないだろ。俺は記憶がないんだから」

「実はさ、大学府に飛び級して、最年少の学者になりたいとか」

「思わないよ、そんなこと」

「実は、経歴を隠した伝説の殺し屋でした、とか」

「、殺し屋って。そんな腕があるならここにはいないだろ」

「実はさ――」

「次から次へとだな」



〝殺す〟



「何をそんなにいてるんだ。さっきの質問攻めの仕返しか何かか?」

「あっ…………。ごめん」

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