表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/1260

「『魔術』」



 そういえば、この世界の人間はちゃんと「魔法まほう」と「魔術まじゅつ」を区別して使っていた。

 俺の世界(RPG)で言えば、似たような意味で使われることが多いんだが。



「魔法と魔術は違うのか?」

「そりゃもう。全然違うよ。分け方は簡単かんたん自然界しぜんかいにもともと存在したのが魔法。んで、人間が作った魔法が魔術」



 魔法については、先に本で読んで知っていた。

 魔法とは、自然界に存在する精霊せいれい――先の授業でアドリー・マーズホーンが語っていた、肉体を持たない魔力のかたまりのようなものだ――が岩や木に書き遺した刻授印(スペル)と呼ばれる彼らの言語を人間なりに解釈かいしゃくし、人間の言葉に直すことで、初めて使用出来るものなのだそうだ。魔法は本来、人間のものではなかったのである。

 そうして刻授印(スペル)を人が読めるようにしたものが呪文(ロゴス)となり、呪文(ロゴス)によって魔法の属性ぞくせい規模きぼ、発動座標(ざひょう)が決まる。

 所謂いわゆる魔力の消費はその過程かていと結果の際に起こる、というわけだ。

 火球メラを唱えた時、そして実際に火の球を発生させた時。その二つで魔力消費まりょくしょうひが起こるわけである。

 それが魔法というシステム。



 となれば、「人が作った魔法」だという魔術とは――――



「ちょっと、聞いてんの!?」

「――ああ。聞いている」

「あやしいなぁ……まぁざっくりまとめると、その魔法を作ってる言葉をアレコレとオリジナルに組み合わせたものが魔術になるってこと。そんでこの通訳魔法つうやくまほう翻訳魔法ほんやくまほう――〝壁の崩壊(アンテルプ・トラーク)〟と〝虹の眼鏡(インテルト・ラト)〟はその魔術の中でも、魔法学校の人じゃなくても覚えてるすっごく有名で簡単な魔術なワケ」

「やはり魔術は魔法より難しいのか」

「使うのは別に難しくないよ。でも、魔術を作るのは普通の人じゃ絶対無理だと思う。魔法の数はまとめるのがムリって言われるほど多いし、今でも学者が世界各地で新しい魔法をどんどん見つけてるって話だよ、たしか」

「それだけ呪文ロゴスの組み合わせも複雑で膨大ぼうだい、ということか……しかし、ならどうして翻訳と通訳は簡単なんだ」

「あんま知らないけど。開発した人が、普通の人も使えるように作ったんじゃない? だから世界中でバカ売れしてるってさ、お金持ちだよー」



 ……なるほど。

 魔術というのはつまり、俺の世界の売り物よろしく開発するもの(・・・・・・)なんだな。

 木材が魔法なら、木造もくぞうの家が魔術というわけだ。



「じゃ、早速行くよ。まずは〝壁の崩壊(アンテルプ・トラーク)〟からね。呪文ロゴスは〝取り払え〟。これだけ」

「やはり短いな。魔弾の砲手(バレット)より短いじゃないか」

「だから言ったじゃん、簡単だって」

「……言葉の組み合わせで発動行程はつどうこうていを作る魔法を、こうも短い言葉に省略することが出来るのか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ