「敵は内部にあり」
(;翁)これにて、2019年最後の投稿となります。
最後の最後まで時間ギリギリで申し訳。
1月5日まで、感想や評価などで更新を早めるキャンペーンを行ってます。
詳しくは活動報告をどうぞ。
それでは、よい新年をお迎えください!
「なぜリシディアが俺達を違法兵団とそしりながら今まで放置していると思う? それはな、俺達を雑兵の集まりだなどと思っている者は誰一人として存在しないからだ」
「…………」
「リシディアは俺達を外敵の如く脅威に思っている。だからこそ迂闊に手は出せんのだ」
「それはあんた達も同じことじゃないのか?」
「…………」
「だからこそ解せない。実質の司令官たるアルテアス理事長を学長代理に――教職員連中を出し抜いてまで急いで就任させ、もっともらしい理由をつけて襲撃者事件――――リシディアと戦う口実となる可能性の高い事件の捜査権を奪った。そして、何か情報を持っているらしい俺を何が何でも吐かせようと、拷問などという悪にさえ手を染めている…………俺にはあんたたちが、まるで進んでリシディアと戦いたがっているように見える」
「……惜しまれるほどの頭の回転だな。それで身元不明でなければ」
「……そうか。安心したよ」
「何?」
「俺を拘束し、ここまで丁重にもてなしをしてくれたんだ。クラスメイトの安全も危ういかと思っていたが……そんな理由があるなら、他のものは捕らえられてはいないだろう。監視くらいは付けていらっしゃることだろうが」
「立場を忘れるな。お前は今――」
「こっちの台詞だ」
「――まだ話すことがあるのか。それだけくっちゃべっておいて」
「話を逸らすなよ。リシディアと戦いたがっているという俺の推測をあんたは否定しなかった。あんたらがアルクスの総意としてリシディアとの戦争を望んでるんだとしたら、プレジアは本当にあんた達の言う義勇が何を頂くのだろうと疑うだろうぜ。そこまで戦いの意志を隠さないんならついでに教えてくれよ。あんたら、一体誰の飼い犬なんだ?」
「身元不明に話すと思うか。敵かもしれん餓鬼にこうまで大っぴらに話をする時点で、自分にもう明日は来ないものと思わなかったのか」
「…………何?」
「プレジアという箱庭でのうのうと暮らし、危機感が鈍ったようだな、ますますアルクスとして不適だ。生兵法とはお前のようなものにこそ使われる言葉だろうな――――持ってこい。こいつは何かを知っている」
「――――っ」
ガイツが誰かに指図する。
体が俄かにざわつき始めた。
もう明日が来ない?
持ってこい?
……まずい、こいつらがまさかそんな――――
「――言ったろう。大義の為の悪は正義だと。さらばだ、身元不明。少々脳は溶けるだろうが、余生は穏やかに過ごすがいい」




