「Interlude―4.5」
「お前基準で測るな大食らい。俺にはあれで十分一食なんだよ」
「うっそ。私の半分もあったっけあれ。てか別に、私大食いってわけじゃないし。野菜と魚とパンがこぶし一握りずつ、あとスープって感じだったじゃん。朝ガッツリ派とか?」
「だから、あの量で足りていると言っている」
「えええ、じゃマジであのくらいなの毎日のゴハンが!? うーわ、痩せてるわけよね。羨ましー」
「なんでだよ。お前も別に太ってるわけではないだろう」
「まあデリカシーのない! 女子は永遠のダイエット戦士なのよっ」
「今のセリフはデリカシーとは関係……」
……って。
俺は何を、マリスタに合わせてぺちゃくちゃとくっちゃべってるんだ。
どうも流される。
「本当に喧しいなお前は。俺はお前みたいに暇じゃないんだよ。ただでさえこうして通訳魔法でお前たちに負担をかけてるんだ。早く自分の足で立ちたいんだよ」
「そんなの気にしなくて全然いいって! 外国語覚える苦労は私もよく知ってるしさ、あれ絶対覚えられる気しないもんっ――て、だぁれが暇人――――」
一向に口を閉じないマリスタだったが、辟易した俺を助けるかのように転移魔法陣が視界を遮り、俺達をプレジア第二層、生活区画へと運ぶ。ここからは図書室と食堂とで道が分かれている。清々した気持ちでマリスタから離れる。
「ちょ、ケイっ」
「お前くらい友人が多かったら、昼のお供くらいすぐ見つかるさ。他を当たってくれ」
背を向けたまま言葉を投げかけ、俺は人込みに紛れた。
◆ ◆
「ぬぁァんにが『ホカヲアタレ』よケイのガリ勉! ぶあいそ!! 少食!!! イケメン!!!!」
(途中から悪口じゃなくなってる……)
マリスタは昼食のトレイをガチャンと鳴らし、憤然と席に着いた。
システィーナはそんなマリスタに一切テンションを引っ張られることなく、優雅にトレイをテーブルに置く。マリスタが大きく大きくため息を吐いた。
「だってさぁっ、だってさぁっ。人がせっかく心配してやってんのにさ」
「見破られてるんじゃない? 根っこの野次馬根性」
「親心と言ってほしいわっ。シャノリア先生は基本的に仕事で忙しいんだから、私があいつの面倒を見るっきゃないってのにさ。親の気持ちは子に理解されないってホントなのねっ」
(こんなお母さんヤだな……)
「まぁた人をそういう目で見るぅっ」
「ほらほら、ケチャップほっぺについた」
「んう」




