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「萌芽」



 教師陣は動いた。

 自分たちに出来ることをやろうと、立ち上がった。



 して自分はどうだ、とマリスタは自問する。



〝口だけじゃないってとこ、見せるときが来たね〟



(……何も見せれてない。私は今回も、ケイの後をついて回ってるだけ。ダメなんだ、それじゃ――――)



〝わたしはお前達プレジアをずっと危険視していた!〟

〝国の不穏ふおん分子ぶんしとして――――王国から独立した巨大な戦力を持つお前達をね!!〟



(――――ううん。私は(・・)、そんなのダメだと思う)



 いた目が、リグオートを見返す。

 その変化に気付いたのは、きっとナタリーだけだったろう。



「変わるよ。プレジアは、絶対に。ううん、変えてみせる(・・・・・・)

「か……変えてみせる?」

「うん。……差別さべつ偏見へんけんを許さない、本当の義勇ぎゆうを持った人たちの学校に!」



 マリスタは、決然とした目で仲間たちを見たあと、その目をシャノリアへと向け、歩み寄った。



「先生。私も乗らせてください、その話」

「俺もだ」



 マリスタに続き、声をあげたのはリグオート。

 ロハザーとヴィエルナが目を合わせて笑い、連なってシャノリアに歩み出す。つられ一人動き、二人動き――程無くして、尻込みしていた生徒達すべてが、その声明に魔力を注ぎ込んだ。

 紙面に押された小さな印が、虹色に明滅めいめつする。



「ありがとう。マーズホーン先生」

「はい、確かに預かりました。では持っていくとします」

「――――よろしくお願いします!!!」



 アドリーがぎょっとするほどの大声で、マリスタが教師陣に一礼する。

 肩越しに振り返ったシャノリアは顔を上げたマリスタの輝く青い瞳を見て、満足気に笑い、生徒達に小さくウインクしてみせた。



「大丈夫よ。たまには大人に任せなさい」




◆    ◆




「…………こ、これでとりあえず、アマセは解放されるんだな」

「あれ、ってことは……劇はどうなるんだろ」

「い、いやだから、つまり……」

中止は中止(・・・・・)だよ。当たり前じゃん!」



 マリスタが生徒達の前にでて言い放つ。

 熱のこもった声にポカンとしている生徒達の中、ロハザーがあきれ顔で手を上げた。



「あのな。その言い方じゃ当然中止なのか、中止が取りやめになるのかわかんねーだろが。アホ」

「あ……ッッだーこら!! 笑うな!!! 当然っ、中止はダメに……ダメになるにきまってるでしょ! って意味です!!!」



 苦笑や失笑を見せる面々の前で、あっさり相好そうごうくずしてあたふたとし始めるマリスタ。

 まとまりと締まりのない空気に、幾人いくにんかが緊張を解いた声をらし始めた。



「はぁ……ま、先生方が動いてくれるっていうなら、とりあえず安心だな」

「てか、学祭今日までなんだろ? 悔いの無いように出店回ろうぜ」

「ん? というか、アルクスからの指令って結局守らなくても――」

「――――ダメだよッ!!!」



 ぶわ、と。



 常人にはめまいがするほどの魔波まはが、生徒達へぶつかる。

 目を見張ったのは、ナタリーら一部の者達だけ。

 その他は、急に熱を上げ始めたグリーンローブの少女に、ただあっけにとられているだけだった。



 いわゆる、白い目を向けられながら。



 大貴族だいきぞくの少女は、大きく息を吸い込んで口を開いた。

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