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「教師陣、動く」

「そうだちゃんと出て来い! そして説明しろ!」「蚊帳かやの外はもうウンザリよっ!」「お前か、それともあんたか!」「フザけないで、私がアマセ君に近いわけないでしょ、近いと言えば……」「逃げるなよアルテアス! ちゃんと説明しろ!」「アマセに一番近いあんたが何も知らねえわけねーんだ!」「そうだ逃げるなアルテアス!!」「やめなさいよあんたたち! どうしてそんな」「おお、こいつもアルテアスを味方したぞ!」「お前もか――」



「……ああうるせえ。うるせえな」



 ――――ごう、と。



 吹き荒れた突風と、身の毛もよだつ圧力に、生徒ら全員が言葉を失う。



 圧力を感じた先へと視線を向ける生徒達。



 サイファス、アドリーを連れたトルトがそこに立っていた。



「せ、先生方」



 シャノリアが沈黙を破る。

 トルトの圧を真後ろで受けたリグオートの顔を、冷や汗が伝った。



 実際には突風など吹いていない。

 ただ鋭い視線と共に投げられたトルトの魔波まはが、生徒達にそれだけの()を感じさせたというだけである。



「何かにつけて敵を見つけてギャアギャアと騒ぎやがってよ。お前さんら、実は実技試験じつぎしけんの時から何一つ成長しちゃいねえな。いい加減世の中を正義と悪に分けるそのアホ思考をどうにかしろ」

「で――でも先生、彼らは隠し事を――」

「だから何だよ。こいつらがお前らに、何か不利益をおっかぶせた事実でもあるってのか」

「それを明らかにするために、隠してることがあるなら話せってことなんですよ!」

「そうです! 後ろ暗い所が無いなら、何かを隠す必要なんかないんだ!」

「危険な思考ですよ。それは」



 荒々(あらあら)しい声音こわねで言い立てた少年をいさめる、落ち着いた声。

 やってきた教師の中で一番背の高いアドリーが、ゆっくりとトルトの前へと歩み出た。

 皆の視線が集まる。



「な……何が危険だって言うんですか。むしろ危険を避ける為に僕らは――」

「誕生日を、サプライズしたい時。それを当人とうにんには隠したりするでしょう」

「……誕生日?」

「人は、後ろ暗くなくとも隠し事をします。下手な決めつけは視野をせばめますし、ケンカのもとになりますよ。今のようにね」

「…………」



 何か言いたそうに黙り込んだ少年の肩を、アドリーは優しく叩いた。



「解っていますよ。あなた達はきっと、そんなこと百も承知です。ただ、今は大魔法祭だいまほうさいを思う余り、それを一時的に忘れているだけ。――でも思い出したのなら、今はみんな、牙を収めてくれますか」



 圧迫感の無い、どこかひょうきんにさえ感じられる声色と軽い表情で、生徒達を見回すアドリー。

 その視線の端で、我関われかんせずとばかりにマリスタを連れ、去っていこうとするピンクニットが一人。

 アドリーは、変わらない調子でその背姿に声をかけた。



「ああ、待ってください。コーミレイさん、アルテアスさん」

「友人が馬鹿共の乱痴気《らんkちき》さわぎで体調をくずしたので連れていくだけです。まさかそれをお止めになりませんよねえマーズホーン先生。伊達だて御髪おぐしが枯れ果てるほどお年を召してらっしゃいませんものねえ」

「はい遠回しに禿げをバカにするのは止しなさい、退学させますよ」

「たいがく?!」

「マリスタ反応しなくていいですからっ」

「……反応するだけの元気はあるのですね、結構。――そう時間は取らせませんから、もう少しだけ私達に時間をください。……我々教師陣も、どう動くべきかを決めなければいけませんからね」

「どう……動くか、ですか?」



 テインツが問う。

 アドリーは薄く笑ってうなずいた。



「話せる範囲で、聞かせてもらえますか? 今朝からここまで、アルクスの皆さんから伝え聞いたことを」

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