「やり場なき、やり場」
長い栗色の髪を背中でまとめた少女が、誰にでもなく問いかける。
それに反応したのはギリートだ。
「学祭は、襲撃者の件で中止になったんじゃない。別の理由があるんでしょ。どうして私達にはそれを教えてくれないの?」
「教えられないなあ、危険だから」
「だから、その危険って何なの!」
「あーやめてやめて、僕に聞かないでくれるかな。実はほとんど知らないんだ、僕なんかはさ。知ってるのは――――そう、アマセ君に近しい人たちだけなんじゃない? ねえ、アルテアスさん」
「――――え」
「マリスタ、体調が優れませんよね。一度部屋に戻りま――」
「ちょっと待てよ」
一人の風紀委員が出入り口に立ちはだかる。
疲弊しきったマリスタを傍に、ナタリーは殺意さえこもった瞳を彼に向けた。
「どいてくださいませんか? 弱り切ってる人間を更に問い詰めようなんて、鬼畜にも程がありますよ。リグオート」
「だったらお前が答えろよコーミレイ。知ってんだろ、どうせお前も。あんだけ毎度毎度アマセを追い回してたんだからよ」
「そうだよっ! 劇どころか、学祭が終わるって言われてるんだよ!? アマセ君から聞いてることがあるなら言いなよッ」
「そうだそうだ!」
「俺達には知る権利がある!」
「ちょ――ちょいちょい、みんな待ったッ! 劇と学祭がなくなって悔しいのはここにいるみんな同じでしょ!? なのに内部で対立してどーなんのさっ」
「落ちついてー!!」
エリダ、パフィラが中央に躍り出て叫ぶ。
しかし、
「こいつらのせいじゃねえかって言ってんだよ!!」
一度決壊を始めた言葉は、そう簡単には止まらない。
出入口を塞ぐ、リグオートと呼ばれたツーブロックヘアの少年が叫び、マリスタとナタリーを指差す。
「俺達は、つまり……こいつらの隠し事のとばっちりを受けたんじゃないのか、って言いたいんだよ! だったらさっさと話すべきだろ!」
「話!……そう単純じゃない」
「――……」
ヴィエルナがリグオートに歩み寄る。
しばしの沈黙の後、ロハザーもそこに並んだ。
「その通りだ。話したくても話せねーことなんだよ」
「本当にそうか? 後ろめたくて言えないだけなんじゃねーのか?……つか、お前らも知ってたんだな、その口振りじゃ。他に誰がいるんだ、あ? 隠れてねーで出て来いよ臆病モンが!!」
「おいンな言い方ねーだろうがッ!」
憤懣やるかたない、といった顔でビージが反論する。
リグオートのぎらつく目が彼を射抜いた。
「……てめーが言えた義理かよビージ。お前もなのか」
「っ……誰でも彼でも疑うんじゃねえ! ンなことしたって何も始まら――」
「逆にどう信じろっつーんだよ! オイ他には誰がいるんだ、ボルテール、ロックコール! お前らもグルなのかよ!」
「無様だぞ、やめろリグオート!」
「お前もかオーダーガード!!」
「だから誰彼かまわず――」
「お願い。……出てきてよっ」




