「こどもたちのつどい」
◆ ◆
「あ、おかえりマリス…………どうしたの?」
「…………」
劇のための舞台セットが、暗幕の影で静かにたたずむ演習スペース。
魔術師コースの面々は、ヴィエルナに寄り添われるようにして帰ってきたマリスタを見て、アルクスによる呼び出しの内容が穏やかでないものだったことを嫌でも理解した。
システィーナがマリスタのそばに歩み寄り、顔を覗き込む。
それにも全く反応を見せないほど、憔悴したマリスタ。
質すようにその視線はヴィエルナへと移ったが、彼女もまた呼吸と視線をさ迷わせるだけだった。
「ちょっと、何事よシスティーナ」
「どしたのー?」
「マリスタ?」
エリダとパフィラ、そしてシャノリアが近寄ってくる。
併せ、連れ立つようにやってくる劇のメンバー。
誰が誰を見ても目を逸らす沈黙の中、聞こえてきたのは同時に吐かれた二つの溜息だった。
「あれ、奇遇だねえコーミレイさん。そうだよね、ため息もでちゃうよねえ」
「減らず口をベラベラ叩く暇があったらとっととアルクスと話した内容について伝えなさい。……やはり中止ですか。学祭自体が」
「え……!?」「何!?」「どういうことだよオイ!」「イグニトリオ君、どうなの? 本当に中止になったの!?」
ナタリーの言葉に、口々にギリートへ、義勇兵コースの面々へと言葉を投げる生徒達。
言い渋る者達を尻目に、ギリートはあっさりと告げた。
「そうだよ。学祭は今日までで中止。そして僕ら義勇兵コースには、実行委と連携して、出し物をしてる全団体に伝えて回るという尻拭いのような仕事が課されましたとさ」
「ど、どうして学祭が中止になるのよ!? アマセが捕まったことと何か関係があるの!?」「中止になった理由を教えてくれよ!」「あんたらなんか聞いたんだろ!」「イグニトリオ君!」
「いいえ。教えられませんっ」
『は!?』
「おっとっと、僕を責めないでよ? これはアルクスから敷かれた緘口令なんだから。『理由は教えられないけど学祭は今日で終わりっです、私達は忙しいから、周知徹底と外部のお客様への対応はお前達がやりなっさい』、これが伝えられた内容の全てでーす」
「……先生方は、何か知ってたんですか?」
黙って聞いていたリアがシャノリアを見る。
その視線に応えはしたものの、彼女はただ首を横に振るだけだった。
「いいえ……そんなの、職員の朝礼では一言も言われなかった、本当よ。大体、アルクスにそんなことが決められるワケ――」
「あそれなんですけど。なんか知らないうちに副理事が学長代理に就任したらしいスよ」
「……え?」
「――――――」
副理事、という言葉にマリスタが息を吸い込み、体を硬くする。
「副理事……オーウェン・アルテアスさんが、学長代理に?」
「イグニトリオさん。それ本当なんですか。確かなんですね」
「お、さすがのコーミレイさんもご存じない?……うん、確かにこの耳で聞いたよ僕は」
「いつ聞いたんだよ、イグニトリオ。さっきの連絡じゃ、そんなこと一度も――」
「今朝、アマセ君が捕まったときにね。誰の指示だって言ったら、しれっと答えてくれたよ。滅茶苦茶な話だよねぇ、コレきっと先生方も置き去りの決定でしょ、シャノリア先生見てたら。トップダウンここに極まれりって感じだよね」
「イグニトリオ君」




