「捕らえたる、権威」
「……おかしいな。それは罪の確定した者を入れる場所じゃないのか」
「ガキらしい浅い考えだな。取り調べを待つ者も入るのだ」
「はは、ちょっと待ってくださいよ。このまま連れて行かせると思ってるんですか?」
「黙れギリート・イグニトリオ。――いや、いち学生風情が大人のやることに口を出すな」
「その学生風情の部屋に? まるで寝込みを襲うような早朝に来て? 大の大人が寄ってたかって暴力で? 学生風情たった一人を制圧する?…………出来の悪い冗談ですね」
「学生一人? 馬鹿を言え。現時点でのプレジア最高戦力のお前が何を言う。私達は危惧したのだ。こうした状況をな」
「剣を降ろせイグニトリオ!」
「これは兵士長ガイツ・バルトビアからの指令なのだ!」
「逆らえばお前も拘束する!」
「個人の一存と指令とは違うんですよご存じでした?……こんなことして、責任者への確認は取ってあるんでしょうね? あんたらがここに着いたのは夜中でしょう、許可を取ったにしては速過ぎ――」
「取ったとも。理事長――学長代理に、拘束の許可をな」
「――――――」
ギリートの声が途絶える。
理事長――確か王国に囚われたディルス・ティアルバーと、もう一人は――――
〝私の父さん、プレジアの副理事なの。プレジアが立つときにお金出したんだって〟
「――――マリスタの父親――――」
「連れていけ」
「――待った。アルテアス理事がいつ学長代理に? 生徒会長の耳にも届いてない決定なんて――」
「調子に乗るなよ。万年休みのお飾り会長風情が」
「――――――」
再度、ギリートが黙り込む。
ようやく目の痛みが引いてきた。
しかし、これはどう暴れたところでダメなようだな。
「ありがとう、ギリート。もういい」
「!」
「クラスの連中に伝えておいてくれるか…………悪い、って」
胸の上から圧迫が消える。
と同時に腕を掴まれ、乱暴に両脇を抱えられたまま、靴を履くことも出来ずに外へと引っ張り出された。
扉の閉まる音。
外気の冷たさが耳から脳に入り込み、俺に状況を自覚させてくれる。
ああ、畜生。
◆ ◆
『……………………え?』
呆然とした声が、劇の会場に集まったクラスの面々から漏れる。
沈痛な面持ちで、シャノリアは再度口を開いた。
「…………アマセ君は、重大な校規違反の疑いで現在取り調べを受けています。学祭期間中は、もう戻ってこないわ」
「何――――何言ってるんですか!!?」
『!!』
金切り声に近い叫びに、皆がギョッとして声の主を振り返る。
群衆を押しのけ、パールゥがシャノリアの前に立った。




