「夜のとばり、裂き、」
◆ ◆
夜。
人混みと絶えぬ取り取りの光で賑わい、熱気と笑い声に満ちていたプレジアも、今は暗闇の中で静かに眠りについている。
学祭一日目は終わり、学生の活動できる時間も過ぎた深夜、プレジアを照らすのは、夜間のわずかな薄明かりだけだった。
そんな薄闇に、あふれんばかりの光を伴った一団が、突如現れた。
転移魔法陣に降り立ったその一団は、夜空の星をちりばめたような外套を暗闇に光らせながら、別の魔法陣へと隊列を崩さず歩いていく。
数はそう多くなく、十に届かない程度であろうか。
陣を乗り継ぎ、辿り着いた先には――――彼らと同じく、星の散った外套を着たフェイリー・レットラッシュの姿があった。
否、フェイリーだけではない。
彼と同様に、星のような――藍色に金の刺繍が入ったローブを身にまとう十数人の集団が、手狭な一室に勢ぞろいしている。
フェイリーが口を開いた。
「待ってたよ、ガイツ。ペトラ」
プレジア第四層、アルクス詰所。
先んじて帰還していた「盾の義勇兵」――アルクスのメンバーはめいめいに、戻ったガイツらに労いの意を示す。
ガイツが、その肉体と同じく一切の緩みの無い目でフェイリーを見た。
「まずは理由から聞こうか。フェイリー・レットラッシュ」
眼光の鋭さに、フェイリーが無意識に深呼吸する。
「そう来るとは思ってた。現状の作戦を伝えるから――」
「違う」
「――ん?」
フェイリーがガイツを見る。――と同時に彼は、ガイツが、そしてガイツと連れだって現れたアルクス隊員らの空気が、自分の想像していたそれとは明らかに違うことをゆっくりと認識し始めた。
「現状の作戦など、ない。それがお前から届いた報告の内容だぞ、フェイリー」
「? 馬鹿な。俺は確かに送ったぞ。人手が足りない中、取り急ぎ義勇兵コースと風紀委員の奴らに――」
「それが軽率だったと言っているのが解らないのか? 本当に?」
「――――」
フェイリーの動きと思考が止まる。
「『人命に、学校の存続そのものに関わるかもしれない重大な事態に、学生身分のものを当たらせた』――――報告を見た時は正直頭を抱えたぞ。恥ずべき采配だ、フェイリー」
「や……そうは言うが、ガイツ。実際我々と学長が連携し事に当たったからこそ防げた被害も――」
「その学長がその後どうなった?」
「――――学長は……容疑者になった」
「そうだ。つまりお前は、事件の容疑者の息のかかった者に、被害拡大を防がせていたということだ。それを世間では『片棒を担いだ』と言うのではないのか?」
「………………ん。ん? ちょっと待ってくれガイツ、ペトラ。お前達、まさか――」




