表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/1260

「倒すべき敵は」




◆    ◆




「何だと?」

「何も教えない、と言ったんだ。敵の正体も、何もかも……今のお前に教えて何になる。これからすぐに、かたきちに行けるとでも?」

「…………」



 …………もっともだ。



 リセルが椅子いすに座り直し、足を組み替える。



「お前は弱い。私がお前をこのプレジア魔法まほう魔術学校(まじゅつがっこう)へと導いたのも、それが理由だ――私を襲ってきた赤髪せきはつの男を覚えているだろう。あいつが放った魔法の威力いりょくも」

「……今は力を付けろ、ということか」

「少なくとも、あんなベージュローブのイキがったガキ相手に歯が立たないようじゃ、スタートラインにすら立てん。都合よく義勇兵ぎゆうへいコースを自ら志願しがんしてくれたわけだし……そうだな」



 リセルがカレンダーのようなもの――やはり、字はまだ読めない――をながめ、やがて俺を見た。



「二カ月後、筆記試験ひっきしけんのちに、義勇兵ぎゆうへいコースの実技試験じつぎしけんが行われる」

「実技試験?」

「その試験はトーナメント形式で、個人の総合的な戦闘能力せんとうのうりょくを問われる。義勇兵――つまりこの学校が所有する傭兵ようへい「アルクス」構成員こうせいいんとして、世に武勲ぶくんを示せる人材かどうかの見極めが行われるわけだ。全等級(グレード)の者が入り乱れての実技……戦闘となり、そこで得られた評価がローブの色にも影響する。……ま、いつも優勝争いをする者は決まっているようなものだがな」

「……ナイセスト・ティアルバーか?」

「ご名答、演習えんしゅうスペースでお前を助けた白黒男(ブラックジャック)さ。そして常に勝利する。奴に並ぶくらいにならなければ……お前の底も知れるというわけだ、圭」



 ナイセスト・ティアルバー。あいつが、プレジアの最強。



「…………上等だ。その実技試験で、俺に優勝してみろというんだな」

「勝てるとは思っていないがな。まずはどこまでやれるか、力を示してみろ。砂利山じゃりやまの小石か、綺羅星きらぼし原石げんせきか……見極めさせてもらうぞ、圭。お前がこの先、いつまで続くかも解らん仇討あだうちを戦っていける男なのかどうか」

「いいだろう。精々のんびりり返っていろ」



 二か月後の、実技試験。

 そうと決まれば、後は力をつけるだけだ。



「それと、私は一応校医(こうい)だ。子どもたちのカウンセリングなんかもやっているから……何か悩みがあったら相談に来てね?」

「猫をかぶるな気持ちが悪い」

「あら、冗談の通じない子ね」

「元々だ。冗談の理解を人に強いるな」

「……今度は信用してない、とは言わないんだな」

「…………やかましい」

「ふふふ、このぉ~」

「俺の死角から迫るなっ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ