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「劇は終わり」

 観客用の明かりがともり。



 拍手はくしゅが絶えないうちに、会場は客のざわめきで満たされた。



 のんびりとアンケート――感想用紙のことだ――を書く者、我先にと出入り口へと向かっていく者、様々いるからしっかり構えておけ(・・・・・・・・・)――――それが開幕前、シャノリアがニヤリと笑いながら言っていたことだ。



 その意味、ここまでよく分からなかったが――



『アマセさんっっ!!!』



 ――――ここにきて、ようやくくその意味を悟った。嫌という程。



 頭にガンガンと響く、嬌声きょうせいにも似た黄色い声。

 何事かと目をしばたかせ、声のした方を見る――――間もなく、両手がそれぞれ違う手に握られ、ブンブンと上下に振りまくられた。



 舞台が終わった直後、役者達には「カーテンコール」という次なる役目がある。

 これまで、役柄として登場した者全員が、今度は「役者本人」として一同に舞台ぶたいに上がり、観客からの声援を受けながら一礼、来場と観劇かんげきの礼を述べる、という時間である。

 ひとしきり喝采かっさいを受けた後――これだけで頭痛が五割増しだ――、客の会場への出入り口を通り――これで終わりかと思いきや、役者の仕事はまだまだ続いた。



 それが、こうして会場から出てきた客を役者が出迎え、役として、更に役者として観客と直接の交流を持つ機会だ。

 そんな傍迷惑はためいわくな時間のおかげさまで、俺は今こうして脳を揺らされている。難儀なんぎな。



「お、おい」

「すっごいよかったですッ、お芝居ッ!!」

「カッコよかった~っ!」

「あ、ああそうか、ありがとう。あの、はな……」



 見知らぬ少女たち手を振られ、れが脳にまで響く。

 だめだ、どこかで休まないと――



グイ、と腕を引かれる。

 その力強さに、少女達が驚いて手を離す。

 現れたのは、サングラスに肩掛けパーカー、という監督然かんとくぜんとした格好をしたシャノリア。



「ごめんなさいね。彼、次の準備があるから。さ、行きましょうケイ」

「あ、ああ。分かった」



「え~?!」と黄色く言う少女達を置いて、楽屋としている演習スペースの一角に引っ込む。

 中は薄暗く、役者も出払っているため人気ひとけも無い。

 ざわついた精神には非常に有難ありがたかった。



「調子はどう?……こんなことを訊いて申し訳ないけど、次もいけるの?」



 楽屋の一角に俺を座らせたシャノリアが、心配そうに顔をのぞき込んでくる。

 近くに感じる吐息といきが、やたら湿っぽく俺の鼓膜こまくを震わせ――――無意識に彼女に近付こうとしていた体を、理性で慌てて引き留めた。



「? ど、どうしたの」

「な、なんでも……」

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