「第2幕、第9場――③」
「話す余力も魔法に向けよタタリタッ! あのカラクリを核ごと破壊するには、どの道膨大な魔力が必要になる。そうでなければ誰も生き残れぬぞっ!」
「私はあなた達ともこの先を生きたいッ!!」
正面を向き、ディオデラへと魔力を収束させながら声を荒げて涙を飛ばすタタリタ。
プデスがむず痒そうに顔をそむける。
そしてキュロスは――――これまでにない程、穏やかな顔で笑った(ロハザーはこの笑顔を一万回はやり直しさせられている)。
「……その気持ちだけで十分だ。さあ――――」
「今にも消えそうな程魔力枯らしてる奴が何言ってんだよっ!」
「!」
「そうだね。ここがきっと、『命を賭けるべき時』なんだ」
タタリタに送り込まれる魔力が、想定以上に増す。
彼女は振り返らないまま――――その目を驚愕に染める。
「く――クヲン、カンデュオっ!!? バカッ、アンタたちは」
「意識をこちらに向けるなと言われたろうがッ!」
プデスの叱咤。その気勢と共に光と綻び始める彼の身体。
プデスだった魔素の欠片がタタリタの眼前を通り過ぎ、彼女も事態を悟った。
タタリタがじわりと目に涙を浮かべ――そして、決然と目を見開く。
魔波の猛りがいよいよ大きくなり。
ゼタンを除く、神々の総意によって造られた魔術によって――――タタリタの前に、巨大な巨大な光の剣が錬成される。
「こいつは必ず……私達が木っ端微塵にする! だから、あんたも――――!!」
再び、俺達の舞台に明かりが灯る。
「ああ――必ず!」
ゼロの状態から、一瞬で全開にまで高められた魔力が、クローネの足元で弾け――火山を抉り、地下のマグマを根こそぎ吹き荒れさせる。
無境瞬転。
超長距離を移動する速力が、今ほんの十数歩先にいる神へ向けられる力へと転換される――――!
「――――――、」
神速で以て、辛うじて剣を防御に向けるゼタン。
しかし、神域の大地を削って創造しただけの剣では――――感情の作用で爆増した魔力にて放たれる、神を超えた一閃は防ぎ得ぬ。
『ああああああああぁぁぁっっ!!』
――――英戦の魔女と黒騎士が、叫ぶ。
そして、光の刃が。
青の残光が。
貫かれ、内側から光によって食い破られる機神、ディオデラを。
両断され、マグマに落ち行く起源剣イディクリスを――――神ゼタンを、蒼く照らした。




