「第2幕、第8場――④」
「今気付いた。お前にとってこの戦いは戯れだ。自分の役割だなんだと宣っておきながら、お前は、どこかこの俺達との戦いを楽しんでいる。それこそがお前の堕落の証だ」
「一度言ったことを再度確認するな。何のつもりなのだ」
「……俺はそれが、お前達と俺達との可能性だと思う」
「……可能性?」
ゼタンの剣が僅かに下がる。
肩の傷は一瞬煙のように歪み、あっという間に完治してしまった。
「お前も俺も、堕落した存在であるなら。もう俺達を別けるものは何も無いんじゃないか? 人間も神も無い、ただ一個の命として、この世界で共に生きていくことは出来ないのか?」
「……同胞を殺しまくった仇に投げる台詞か? それが」
「蟠りは解いていけば――」
「魔法を学び、皆を率いてきた貴様ならば気付いているのではないか?――――貴様ら人間という種は、それほど賢く出来ていないということに」
「………………」
クローネが黙る。
ゼタンは、どこか自嘲を含んだ声で笑った。
「我が作品ながら、人間が失敗作であったことは嫌という程理解している。だからオレには見える」
ゼタンがクローネに歩み寄っていく。
「貴様のように、ごく一部の者は共生を謳うこともあるだろう、元々そう望んで貴様らを創った。だが堕落し切ったその他大勢は――――大きすぎる正負いずれかのエネルギーを前にするといとも簡単にバグる。見えなくなり、聞こえなくなり、気付けば利己に飲まれ二元論に堕ち、溺れ死ぬ。感情を抑え、目の前のよりよき未来を選ぶ。たったそれだけのことが、奴らには出来ない」
「………………」
「解っているのだろう。奴らは憎しみを乗り越えられず、必ずやオレを闇討ち、殺す。そして――――矛先は貴様ら賢き者にも向かう」
「俺達に?」
「俺達に。――――意見の大勢を占める俺達に従わない貴様らは、一体何のつもりだ。どちらの味方だ? とな。そら二元論だ」
「…………!」
「馬鹿共が。まったくほとほと救いようのない馬鹿共が!!」
神が吐き捨てる。
どこか諦念を滲ませた目で黒騎士を捉え、取れと言わんばかりに彼に手を差し伸べる。
「出来損ないもそこまで行けば種の限界だ、人間よ。所詮貴様らは他種族と共生し得ない劣等種。ならば諦めて死に絶え、次なる優性種に望みを託そうとは思わんか? クローネッ!!」




