「第2幕、第6場――①」
――――突如星に飛来した巨大隕石が、キュロスとカンデュオを頭上から消し潰した。
「な――――何が起こったッ!!?」
否。それは隕石ではなかった。
「カ――――カンデュオ隊長ッッ――――!!!!」
否。それが消し潰したのは、カンデュオとキュロスだけではなかった。
っっ――――ぎゃああああああああああ――――――……
数千の叫び声が、大地と共に潰散していく。
地は土塊に。
人は肉塊に。
文明は殺戮尽くされ、ただ自然へと為り果てる。
人間の営みを零にする、神罰の如き一撃。
その機神にとってそれは、ただ拳を振り下ろしただけに過ぎぬ。
人々の鼓膜を破り血と吐瀉を撒き散らさせる音と魔波。
その機神にとってそれは、ただ動こうと関節を軋ませただけに過ぎぬ。
敵を、戦場と一柱の神を巻き添えに消し去った我楽多の神。
機神ディオデラは、その日初めて星を削った。
◆ ◆
「全……滅?」
「解りません。解りませんッ……でも誰も。誰一人、あの戦場から戻った者はおりません!!!」
絶句するタタリタ、クローネ。
自暴自棄に叫んだ兵を前に、ユニアはよろよろと後退った。
「……さっきの、吐きそうなくらい濃かった魔波。あれが――」
「タタリタ様ッッ!!!!」
駆けこんできたのは衛生兵。
負傷者の治療を任されていた管理者。
滂沱の涙と共に髪を振り乱し、彼女も告げる。
「何が……何が起こっているのです!? 負傷者が……体を弱らせていた者が――――残らず死にましたッッ!!」
「!!?」
「……魔波か? ただ魔波にあてられただけで、そんな――」
「耐えられなかったのよ……魔法になれてない人たちは、それだけで……!!」
「助けてください、タタリタ様…………たすけ、て――――」
ぐるり、と衛生兵が白目を剥き。
彼女もまた、泡を吹いて倒れた。
「…………ちょっと待って。落ち着いて、落ち――考えなきゃ、考えなきゃ、待ってちょっと、」
「おい見ろ。外……見えるぞ」
「外……?」
風の音以外、何も聞こえない自陣の中。
タタリタとユニアは、クローネに促されるままに外を見る。
いつの間にやってきたのか。
彼方、木立さえ足元の雑草に見える遠方に、その巨神ははっきりと見えた。
機械仕掛けの体の、至る所に無数の魔術機構を施されたその絡繰りは、今ゆっくりと拳を構え、何かに狙いを定めている。
「――――やめて」
そこは。
曼荼羅のような魔法障壁に守らせている、非戦闘員の城塞都市。
「やめろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――ッッッ!!!」




