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「第2幕、第5場」




◆    ◆




 戦いはそれ以後も、何事も無かったかのように続いていく。

 決着の見えない戦いの中、それでも前を向けと戦士たちを鼓舞するカンデュオ。

 彼に相対したのは、なかおどされるようにして戦場に立つ、キュロスであった。



「……ハァ。ハァ、ハァ……!!」

「――これだけ手酷くやられてまだ解らぬか。貴様等が我等に勝つことは――」

「その脅しはもう通用しない。解ってるでしょ――――実際プデスは消えたんだから」

「…………だから何だと言うのだ。こうして貴様等のしかばねが積み上がることには違いなかろうがッ。幾千幾万いくせんいくまん犠牲ぎせいの果てに我々をたおしたとして、その恩恵にあずかる人間が居なくなっていたのではどうしようもないと解らんのか!」

「いやに饒舌じょうぜつじゃないか。まるで僕らを必死にせようとしてるみたいだ」

「っ……言わせておけばッ!!」

「こっちのセリフだよ。僕らの厭戦感えんせんかん逆手さかてにとって何をたくらんでるかは知らないけど――――あんた達は、和睦わぼくに見せかけた臣従しんじゅうなんかで、まだ僕らを動かせると思ってる。気付かないとでも思ってるのか、大馬鹿野郎」

「!!!――――……」



 キュロスが表情をかたくする。

 和睦に見せかけ、人間を懐柔かいじゅうする。

 カンデュオが語った内容は、キュロスの作戦を的確に言い当てていた。



 キュロスはあせっていた。

 ゼタンが、究竟意志くきょういしへの供物くもつである心の力をもって創り出した機神、ディオデラ。

 それが本当に動き出してしまえば、人間はおろか――――神々さえも滅ぼしてしまいかねない。



 その危機感が、キュロスから平時の冷静さを奪っていた。



「………………でも」

「!……?」

「もし……あんた達と、対等に和睦わぼくを結ぶことが出来るなら。僕らは、本当にここで戦いを終えてもいいと思っている」

「……!」

「ずっと戦ってきたんだ。あんたの考えがゼタンと完全に一致してないことは、なんとなく解る。だからこそ、あんたは戦場に、身一つで僕達の前に出てくるようになったし――――力でなく言葉で、僕らを取り込もうとした。違うか?」

「――――カンデュオ、貴様」



 カンデュオが、持っていた弓を下げ。



 仲間たちの、制止の声にも応えずに。


 神キュロスの、眼前に歩み寄る。



「僕らは、ずっと自由の為に戦ってきた。神を滅ぼそうとか、成り代わろうとか、そんなことは一度たりとも目標に掲げたことは無い。ただ皆が。皆が笑って暮らせるようになりたくて戦ってきたんだ。誰にも縛られない世界を目指して歩んできた」

「――――」

「魔法を得た。神を殺せる力を得た。でもそれは、僕らが本当に成したかった戦いじゃない。僕らの戦いは。僕らは――僕らは対等に。共に。手を取り合って生きていくことは出来ないのか? できないのかキュロスッ!」



 カンデュオが、キュロスの両肩をつかむ。

 キュロスは一度視線を彼かららしたが――やがて光に照らされた瞳で、カンデュオを見返し、彼の両手首を、両手でしかと握り締めた。



「――――そうだ。それこそが……それこそが我々の――――!!!」














「ほうら。かかった、かかった」

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