「第2幕、第4場――②」
「それ以前に本末転倒ではないか!!! 心の力を集めるために心の力を使うなどバカげている!! そんな判断も出来なくなってしまったのかゼ――」
「申し訳ないと思うておる。故に最速で、終わらせる方法を使うことにしたのだ」
「お前は先程、『戦わない』と申したのだぞ!」
「そうだ。戦わぬ――――ただ駆逐するだけだ。失敗作共を、この力でな」
震動。
と共に、キュロスの前に現れたのは――――――大きな大きな大きな、眼。
「――――――」
放たれるその畏怖に、神が一時呼吸を忘れる。
大量の冷や汗と共にようやく息を吐き出した時――――キュロスはようやくそれが、その巨大な巨大な機神の、ほんの一部でしかないことに気が付いた。
観客達が天井を振り仰ぐ。
光魔法と大量の煙によって映し出された、ビージ・バディルオンの――――メイク班と衣裳班の技術の粋により、最早彼とは思えぬ悍ましい機械仕掛けの魔術機構である――――姿。
そんな、町など一飲みにしてしまいそうなその圧倒的存在をも、ゼタンは何の感慨も無さげに淡々と見上げ、そしてキュロスと目を合わせた。
「『ディオデラ』。そう名付けた」
「……ディオデラ?」
「人間よりも、少しだけ時間をかけた。だがそれに見合う働きをするよう、力は込めたぞ。これには何もない。人間のような、完璧を求めたあれこれの細工など一切していない。ただ壊す。ただ殺す。ただ飲み込む。使い方を誤れば、神さえ殺してしまえる」
「!?…………ゼタン。君は……お前は今、何を考えている?」
「? 何も」
「ふざけるな。『神を殺せる』だと? 一体何を思えば、そのようなとんでもない言葉が口を衝くというのだ。それは……我々に殺意を抱いた者にしか出ぬ言葉だぞッ!!!」
「――――――」
呵々、と一柱の神が笑う。
その目には、確かに何の意志も宿ってなどいない。
そのように、見える。
「……それが今のお前の望みなのか、ゼタン」
「――望み」
「そうだっ。ゼタン、お前は――お前のそれは『欲望』だッ。お前が忌み嫌い、なんとか取り除こうとここまでやってきた――――人間だけが持つ醜悪な望みだッ!! お前は人間と同じく堕落したのだ、ゼタンッッ!!!」
機神が、身動ぎした。
「ッッッ!!!!!」
それだけで――――キュロスは、魔波に当てられ尻餅を付いてしまう。
否。
こいつは、今――
「――――ゼタン。こいつは……お前は今、私を殺そうとしたのか?」
「……はは。そんなことをする理由は無いよ」
「…………理由があれば、躊躇わぬと申すか?」
「何を言う。君こそ人間に感化されてはいないか? キュロスよ」
ゼタンが、虚ろな目でキュロスを見る。
「躊躇わぬも何も、我々はそのように望まれて創られた者だ。我は望まれた使命を全うする――――究竟意志に従うのみだよ」
機神が、関節を軋ませ動き始める。
その音はさながら、星の亀裂の如き轟音だった。




