表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
641/1260

「第2幕、第3場――②」



 プデスが叫ぶ。

 と同時に、彼の手の中で――ごく小さな石ころが生成され、空間の中央へと飛んだ。



 あんな魔法が、本当に存在したかは分からない。

 分からないが――――その魔法の持つ魔波まはに対面したクヲンは、これまでに無い程顔を狼狽ろうばいさせた。



「チィッッ!!」



 クヲンが手を引き、そこに空間がゆがむ程の魔力まりょくを収束させ、放つ。

 光の波動は小石とその後ろに居たプデスをあっさりと飲み込み――――弾き消された。



「ッ!!?」



 頭程の大きさに巨大化した(・・・・・)、小石によって。



 否。それはすでに岩石と呼ぶべき大きさだ。

 弾かれ後退し、体勢を立て直したクヲンの前で――舞台上でその岩石は、更に、更に大きく膨張ぼうちょうし――――



 ――クヲンは確信する。

 この障壁しょうへきの内側、空間そのものを岩で埋め尽くそうとしていると。



「っ――――ンのおッ!!!」



 クヲンがプデスへ駆ける。

 岩が空間を蹂躙じゅうりんする前に、何としても術者を止めなければならない。

 しかし――



「う、わっ……!?」



 まるで山がるように、不規則に膨張していく岩石がクヲンの行く手をさえぎった。

 次々と道を変えプデスへと迫ろうとする金髪の少女。しかし岩石は、意志を持つかのごと妨害ぼうがいを繰り返し――――いつしかクヲンの視界は、半分以上が岩に覆われていた。



「クソっ!!! 何考えてんだプデス、こんなことしたらお前も生き埋めだろうがッ!!」



 クヲンがプデスを見る。

 プデスは鋭い目で彼女を見つめるばかりで、答える様子は無い。

 それまでの多弁はすっかり鳴りをひそめ、まるで別人だ。



 故に、これからの一分は――――エリダ一人の独擅場どくせんじょうと、ならなければいけなかった。



 俺の横に居るマリスタが、身をかためた気配がする。

 向かいの舞台セットの間の出捌ではけ口から見ているリフィリィ、パールゥも、固唾かたずんでエリダを見守っている。



 この劇で一番手こずっていた殺陣たてが、始まる。



「っ――――ぁあああああああッッッ!!!」



 エリダが地をる。

 と同時に、突き出て迫った岩石を――光の波動で吹き飛ばし、穿うがたれた穴に体をすべり込ませた。



「ッ!?」



 これには腹を決めたプデスも目を見開く。

 そうしている間にもエリダは岩を波動で削り、プデスへと迫りつつあった。



「プデス――――ッ!!!」

「――――甘いわッ!!!」



 削り取った岩が。



 一瞬で、復活した。



「なっ――――!!?」



 質量や生成時間など、世界の法則をまるで無視した「魔法」。

 クヲンは――エリダは歯噛はがみしながら急に足を止め、――――まだ進める余地のある場所へと一足飛びに走る。



 エリダは魔術師コースの人間だ。

 普段から体を鍛えている訳でもなければ、瞬転(ラピド)が使える訳でもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ