「第2幕、第1場――②」
「あんた達は結局! この戦いの終わりなど、全く見えてないんじゃないのか!?」
少年が、今や部隊長に抜擢されたクヲンに掴みかかる。
クヲンは一歩も仰け反ることなく、しかしその手を払いのけることもせず、少年の切実な瞳に向き合った。
「落ち着くんだ。そう言いたい気持ちは十分――」
「そうやってはぐらかしてもうどれだけ経った? どれだけの仲間が犠牲になった!!?」
「――……」
「目的も聞かせず、決着の形さえ示さず!! ただただ俺らの命を使い捨てるッッ! やってることが神共と一緒じゃねぇか、あァ!!? 何様のつもりなんだあんたらッ!!!」
「ゼタンは人間の希望を察知する。絶望と同じように」
「…………なに?」
少年の手を包むようにして、クヲンは冷静な言葉を少年に返す。
舞台袖で見ていても、このシーンのエリダの怜悧さにはギョッとする。あんなに沈着冷静なエリダなど、恐らく今まで一度も見たことが無い。
聞けばあいつ、実はアルクスの兵士長であるペトラ・ボルテールの妹なのだという。
さすがの血筋、ということになるのだろうか。
確か、ボルテール家は貴族ではなかった筈だが。
「さんざん見てきたはずだ。あの神は希望を察知すれば、それを必ず逆手にとって私達を絶望へ叩き落としてきやがる。だから、ギリギリまで押し隠しておかなければいけないんだ。この希望は」
「!!!……き――希望?」
呆然と少年。
クヲンは柔らかな笑顔を返し、少年と共に談判に来た少年少女を見遣った。
「お前達が不安に包まれている――その状況すらも、作戦の一部だ。――よく来てくれたな、お前達。お前達がここで発した絶望と不安を、ゼタンは必ず察知している。それこそが絶好の隠れ蓑になる。心配するな。お前達は今、我々の作戦に大いに貢献してくれたんだ」
『…………!!』
「おっと、嬉しさを抑えろよ? それさえも、ゼタンは察知するぞ。さあ行け。そして頼んだぞ。――明日の戦いで、戦局は大きく、大きく動くんだから」
◆ ◆
神々の強さは、その固有の大魔法により、一人で数千数万を相手に出来るような脅威となることである。
特に、神プデスは――――臆病ながら、ゼタンの差し金でヌゥに止めを刺したこの神は――――、「化身」と呼ばれる、魔法以外では触れることさえ出来ないもう一人の自分を天下界に召喚し戦わせていたため、人間達は彼になんの痛手も与えることが出来ず、敗走を繰り返していた。
これまでは。




