「第1幕、第3――おいウソだろ」
音と光が、舞台上の時を前に進める。
彼の隠れ場は、この墓標の丘に決まった。
いつしか彼らは、友人のように言葉を交わす仲となり――その時は、急に訪れることになる。
「次のセリフド忘れした先生どうしようどうしようどうしようどどおどどど」
「おバカ台本確認しなさいッ!!」
「も、もう出番だよマリスタッ!!!」
……急に、訪れることになる。
突如彼らの下に現れた白竜の正体。
それは――――竜種へとその姿を変態させていた、ゼタンら神々の方針に反旗を翻した異端の神だったのである。
「――我は、お主らに賭けてみようと思う」
白煙。
三人の視線を刹那染めた煙はすぐに晴れ――――目の前には、
「な――ッ」
銀の長髪を迫力たっぷりに振り乱した、実技試験前にシータ・メルディネスと小競り合いを起こしたリフィリィ・フェルトニス演じる反逆の神、ヌゥの姿。
竜が突然、貫頭衣を着た人間態に変化する。
彼女が神であることは、誰の目にも明らかだった。
「……か、神――」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
?――――マリスタの、声が、聞こえない。
ま。まさかこいつ。
直前に確認した台詞さえ頭からトンじまったのか――――「芝居だったのか、今までのこと全部! 私たちなんかを騙してどうしようっていうの!」だ!!
思わずマリスタを見てしまう。
見てしまってから、その行動も悪手だったと気付いた。
役者の動揺は、思った以上に観客に伝わる。
特にこのように、客席の近い舞台では尚更だ。
なんて考えている暇は無い!
不自然に間が空けば空くほど、ここまで順当に作り上げてきた物語の空気が総崩れに――
「下がってタタリタ! クローネ!!」
『!!』
咄嗟に前に出たのはパールゥ。
しかし何をいきなり――そんな台詞は台本のどこに、も――――
――繋げてくれたのだパールゥは。
続け。
「――芝居だったのか。今までのこと全部。俺達なんかを騙してどうするつもりだ!!」
マリスタの動揺が伝わる。
しかし、これで場は繋がった。
ファインプレーだ、パールゥ――――結果的にマリスタの出番を奪ってしまったが致し方あるまい。
まったくヒヤッとさせる――だが後は――
「……逸るでない。この姿を見せたのも、お主達を信じるからこそだ」
リフィリィの目にも一瞬動揺が浮かんだが、すぐに掻き消えた。
流石は演劇部である。稽古でも本番でも頼りになる奴だ。
「……信じる?」
「我は、天上から見下ろしてばかりであった。短い時間だったが、お主ら人間と触れ合い、笑い合い、語り合うた日々は、全て我にとって宝となった。――だから我は、お主らを。人間を信じることにする」
「私達に……味方してくれるってことなの!?」
ようやく台詞を思い出したらしいマリスタが――タタリタが、俺とパールゥを押しのけて前へ――本来いるはずだった場所へと戻る。
もう勘弁しろという気持ち半分、明日は我が身と思うのが半分。
気を引き締めねば。




