「第1幕、第2場――②」
「当然! カミサマをぶんなぐるためよ!」
「えええっ。いやだぁ」
「いやだじゃないの! 父さんも母さんも、おこってるんだから! わたしもおこる!!」
「なんでぇ」
「わたしたちはね、クローネ。神様に、心の力を供給するために生まれたの」
「キョウキュウ?」
ぐずるクローネの頭を優しく撫でるユニア。
タタリタは一人でエキサイトし、シャドウボクシングなどをしている。
「わたしたちが生きるだけでためることが出来る、心の力。それを神様は、集めたがっているの」
「どうして?」
「それは……分からないけど」
「だからおこってるの!!」
だん、とタタリタが二人の前に立つ。
「どうして自分が生まれたのか、なんのために生まれてなにをして生きるのか!!! わかんないのはいやなのっ!! だからみんっな、おこってるの!!」
「なんのために……カミサマにこころのちからを……」
「ちがーう!!!」
「わーん!!?!」
「ああっ、もう、タタリタ! そんな叩いちゃだめだって! おばさんに言うよ!」
「『しあわせ』になるの!!」
ぐるり、とタタリタが観衆を向き、胸を叩く。
『しあわせ?』
「そう! わたしたちはね、クローネ、ユニア。しあわせになるために、生まれたの。みんなみーんな、しあわせになれるの!」
「しあわせ……て、いいものなの?」
「そりゃも~、とってもいいもの! あったかくて、きもちよくて、おなかいっぱいで!! みんなわらってるんだから!!」
「わぁ……!」
「じゃあ、今大人たちが神様と戦う訓練をしてるのは……しあわせになるためなの?」
「そのとーり!!! わたしたちもいつかオトナになる! そのときは、父さんや母さんたちと一緒にたたかうんだよ!」
「いやーーーだーーーーぁあ~」
「なみだひっこめちちんぷいぷいボコー!!!!」
「いぎゃいーー!!!!」
「あ、あぁクローネっ! タタリタっ!!」
こうして、慌ただしい空気と忍び寄る不穏を残し、幼少期は終わりを告げる。やっと終わった。
神によって搾取されるだけの存在であった人間。
神など存在した筈は無いから、これは大国からの支配を受けていたことを暗示しているのだろう。
リシディア王国は、北のアッカス帝国の傀儡国家として産声を上げた歴史があるから。
そして、舞台はタタリタ達が十四歳の時分に移る。
父母と共に神に抗う。
タタリタのそんな願いは、遂に果されることなく終わりを迎えた。
人間に負の感情を溜めさせたまま、飼い殺しにする選択をした創世神、ゼタン。
彼はまるで、増えすぎた植物を間引くように――実に事務的に、そして絶妙な力加減で以て、不穏分子の殲滅を行ったのである。
火、水、雷、土、風、氷、木、鉄、闇、光。
自然そのものを操る魔術を持つ神に、ちっぽけな人間が敵うべくもなく。
人間は、絶望と憤怒に苛まれる家畜となり果てていた。
「うっ……ぁあ…………父さん……!!!」




