「下策と暗君」
「確証を得るために……俺らのケンカが役に立つってのかよ?」
ビージが疑わしげに言う。
「ああ。これから話すが……ナタリー。記録石を点けてるなら消せ」
「ついてませんよ何も。この部屋の二十五の記録石もいつの間にか外されていることですしね! 点けてる気配を敏感に察知できる方がいるのでしょうねェ」
「二十五も付けてたってのかよ……」
「フツーにプライベートの侵害……」
ロハザーとテインツが顔を引き攣らせてナタリーを見る。
当のナタリーはそんな視線などどこ吹く風、と茶を飲んだ。
「へぇ? 記録石見つけたりとかできんのケイ」
「知るかやった奴に訊け」
「あ、イグニトリオ君なのね」
「ともかく。これから、ここにいるメンバーにだけ作戦の内容を話す。要点だけ掻い摘んで話すからよく聞いてくれ」
実際の動きと。
それによって起こるであろう展開と。
結果得られるであろう情報だけを、的確に伝える。
当然――――
「待て待て待て待て待て」
「ちょっと待ってそれ……うん???? つまりどういうことかな???」
「あらまあ、貴方プレジアから出ていってくれるつもりなのですか? そりゃあ御目出度いことですね」
ロハザー、マリスタ、ナタリーがそれぞれに顔色を変える。
まあ、そうなるだろうな。
「ケイ……確認させて? あなた……いつからそんな、その。……王女様とお近づきになったの?」
「……まあ、あの訳の分からんイベントの前は、王女に言われて一緒に学祭を回ってたくらいだからな」
「王女と学さ――――なンっで君なんだまたそういう役回りだけ?!?」
「うわっ?! バカ、テインツ! いきなり大声で叫ぶなッて」
「あっ、ああ悪いロハザーっ」
「嫉妬……今でもライバル視してんだねぇ」
「何か言ったかチェニク!!」
「べ、別にー?」
「おおおお、王女様に言われたの??? 一緒にデデデデートしてって!?!?」
「そうは言われてないが、まあデートと言っていいと思う。本来なら、あの後で今回の件に王女が関わっているかが分かる筈だった。あの糞イベントのせいで聞けずじまいだったが」
「まあでも、答えなかったでしょうね。ハイ関わってますなんて言わないでしょうフツーに考えたら」
「同感」
ナタリーの言に小さく頷くヴィエルナ。
マリスタが首を横に振った。
「いやいや。あのおっぱいバカなら口を滑らせるかもしれない」
「ぶっ……?!」
「うわ?!?! て――テインツてめ、茶ァ吹いてんじゃねーよ! きったね」
「わ、わわ悪いビージ、すまんっ……アルテアス!! なななっ、何を言うんだ急に君は!!」
「なっ、なによぉ!? おっぱい程度でそんなっ、ど動揺しないでよね!」
「してんじゃねーかおめーも……」
半眼でロハザー。
俺がトルトを見ると、彼は実に面倒くさそうにテーブルの上にあった台拭きを取り、テインツに投げつけた。
「そんなに馬鹿なのですか? リシディア唯一の姫君は」




