「応える。」
「俺を――――俺達を信じてくれ、フェイリー。きっと、この事件の解決に役立ってみせる」
「――――――…………。 、ダメだ。俺はアルクスで、お前は現時点で十分に疑われる余地がある。そしてお前を信じられるだけの材料を、俺は持たない。それが全てだ。お前は信用に値しない。来いアマセ。お前を拘束する」
「レットラッシュさん!」
マリスタが食い下がる。
しかしフェイリーは相手にしない。
眉根を寄せ、癇癪を起しそうになったマリスタを、ようやく調子を取り戻したらしいシャノリアが手で制した。
テインツが前に出る。
「だったら。俺も拘束してください」
「俺もやってください」
「!? バディルオン君、テインツ君っ」
「私も」
「俺もだな」
「――――私もっ!」
「冷静になれ馬鹿共。そうやって数で対抗すれば俺が折れると思ったら大間違いだぞ。俺はアルクスだ。プレジア内外で仕事を取るプロの義勇兵の一端なんだ。感情で物事を前になど進められない。どれだけの数で来ようと無駄だ、拘束が望みなら拘束して――」
「ちょっと待った。……あ、じゃなくて。ちょっと待ったです。アルクスの先輩」
「…………何だ。イグニトリオ」
少し疲れた顔で、フェイリーがギリートを見る。
ギリートは軽く手を挙げた姿勢のまま、目だけを明後日の方向に向けて口を開いた。
「今の言い方からするとですよ。あなたは、アマセ君を信じられるだけの材料を手に入れたら……彼らを信じるんですか?」
「当然だ。信ずるに足る材料さえあれば――」
「奇遇ですねぇ。僕も丁度同じことを考えてたんですよ。ちょっと前から」
「何?」
「胡散臭いにおいがプンプンする、でもそのくせ、周囲の人間にはやたら一目置かれてる。僕も気になったので、言ってあるんですよ彼に。信じるに足る存在か、見極めさせてもらうって。どう見極めるかは決めてあるので」
「……それが何だ」
「ですからね、それを試金石ってことにしていただけないかなぁと思いまして」
ギリートがニコリと笑った。
胡散臭い笑顔だ。フェイリーも同じ感想を持ったのか、目を細めてギリートを見返した。
「……つまり、今後のお前の意見で以て、アマセを信じるかどうか判断しろと?」
「ええ。今現在、大貴族の中で恐らく一番マトモで、」
「は?」
「?!」
「人望があって、王国にもプレジアにも人脈と、社会的地位を持った一族の嫡男、ついでにプレジア魔法魔術学校生徒会長でもある、このギリート・イグニトリオの意見で以て、です」
輝かしいまでの決め顔でギリート。
言外に侮辱されたシャノリアとマリスタ以外の面々も、呆れ返った顔で彼を見た。
まあ……
「…………自賛が過ぎやしないか」
「自分のスペックをちゃんと把握しておくことも大事だと、ルームメイトに教わったもので」
……そういうことなのだが。
「信用に値するでしょ? 僕の言葉なら」
「……確かにお前の噂は、俺が学生だった頃から聞いている。対面で話すと最悪な印象だが、」
「えーそれいっつも言われるんですけど」
「その思慮深さと実行力、実行を確実に成果に結びつける才覚と実力は、十分な評価に値すると」
「ありがとうございまーす」
「対面で話すと印象最悪だがな」
「二回言う必要ありました???」
「ありますね」
「あるだろが」
「あるな」
「あるね」
「ある!!!」
「あ」
「お前さんには二回でも三回でも足りゃしねーよ」
「ザードチップ先生までやめてくださいっ」
シャノリアが窘めるも全員素知らぬ顔。というか変に息の合ったチームワークを見せるな。
本人はカラカラ笑っていた。
「……分かった」




