「応え、」
〝あなたはお母さんと同じ……いいえ。お母さんよりも大きい、大きい優しさを持っている〟
「――言えま」
「言うな。バカ」
「――ぇ」
毅然とフェイリーを見上げた赤毛のつむじに声を投げる。
マリスタは虚を突かれた表情で、左肩越しに俺を見た。
「け、ケイ?――ってバカって何よッ!?」
「馬鹿だから言ってるんだ。こんなしょうもない口車に乗せられて、一世一代の宣言なんぞ使うもんじゃない。そんなのはもっと大事な機会に取っておけ」
「馬鹿じゃないッ! 私は知ってるもの、なんだかんだいってあんたは――――って、え? 口車?」
「ああ。皆も体を起こしてくれ。いつまで容疑者候補の戯れ言に付き合っている」
『!?』
「――――!?」
跪いた全員が、ぎょっとした目で俺を見るのが分かる。
それでも俺は――突拍子も無いことを言われ、面食らっているフェイリーから目を逸らさなかった。
「……いきなり何の話だ」
「信用という意味で言えば、あんたも俺とそう立場は変わらないってことさ。ここにいる誰も、あんたと面識があるわけじゃない。俺の情報が皆に渡るのを恐れて、俺を拘束しようとしている……と見ることも出来るだろ」
「…………そうか。どうしても捕まる訳にいかない事情があるということか」
「……酷い話だな。あんた自身、信じてもらったからこそ、まだここにいられる節があるというのに」
「俺が?」
フェイリーが眉を顰める。
どうやら本当に覚えていないらしいな――まあ、日頃から控え目で大人しい気質の奴の発言ではあったが。
〝信じようよ〟
「覚えていないとはな。シータが目覚めた時だ。プレジアの門を守るあんたらが敵に内通している疑いがかかったとき、『疑おうと思えばどこまでも疑える』とあんたを庇った奴が居た」
「…………」
「あのとき、あんたを風紀の手で拘束してもらうことだって十分できた。それを差し置いて、他人に疑いがかかったときはすぐ拘束か? 底が知れると思わないか」
「……どっちが口車だかな、ケイ・アマセ。あの時と今とじゃ」
「状況が違う、とでも言うつもりか。確かに、俺はまさに今隠し事をしている。だが、あのときはどうだったんだ? 深くは追及しなかっただけで、アルクスにも隠している情報はあるかもしれないだろ。無いという根拠は示せない」
「あるという根拠も示せんだろう」
「ほらな。疑おうと思えばどこまでも疑えてしまう。結局立場は同じなんだ、フェイリー」
「………………」
「だからこそ、リア・テイルハートは信じる道を説いた。そして――――俺もそれに乗ることにした」
「っ?」
俺は、皆と同じように――フェイリーの前に跪ずいた。
『!!?』




