表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

612/1260

「動かぬ体、動き続ける脳、こころ」



 テインツが、フェイリーの前にひざまずく。

 マリスタ達が目を見開いた。



「こいつが信用に足る人物だと、絶対に証明します。この事件の解決をもってっ」

「話にならない。それで通るなら世に犯罪は存在しない」

「お願いしますっ! 私の――オーダーガード家の威信にけて、必ず証明してみせますっ!! お願いしますっ!! レットラッシュさんッ!」

「何を言――――っ!?」



 何かを発しようとしたフェイリーが口を閉じ、目線を移す。

 ひざまずくテインツの横。

ビージ、ロハザー、ヴィエルナ――――そしてマリスタが、彼に倣うようにして跪いたのだ。



 流石さすがにトルトは顔を引きらせているだけだ。

 ナタリーなど、今にも吐きそうな顔をしている。



 ――そうだよな、普通。



「…………マリスタ・アルテアス」

「っ。……はい、」

「今、俺の前にそうしてこうべれていること。それは、お前もケイ・アマセの為に……家柄さえ投げ打つ覚悟ということなのか? アマセが黒だった場合、その行為が家に――――国にどんな事態を引き起こすか、わかってるのか?」

「…………国」

「犯罪者の片棒かたぼうかついだ家がどうなるかは、よく分かっているはずだ。つい数か月前まで、ここで権勢けんせいほこっていたティアルバー家は、今やプレジアでは語ることさえタブー視される罪人ざいにんだ。国内全ての邸宅ていたくには調査の手が入り、財産もことごと没収ぼっしゅう。血縁の者は残らず捕らえられ、娑婆シャバにティアルバーの血を引く者は誰一人としていなくなった。たった二ヶ月の間に、だ」

「…………」

「その上ティアルバーは、プレジア建国に携わり、今なおこの国を支える柱の一つでもあった大貴族だいきぞくの一。彼らがいなくなることは、そのまま国の疲弊ひへいにさえつながるんだ。リシディアが過去幾度も他国の侵略によって国土を削られてきたことは十分に学んでいるだろう。――そしてそれはお前も同じだ、アルテアス」

「…………!」

かせろ。お前は――お前達は、そうしたリスクを飲んででも、ケイ・アマセを信ずるに足る人物だと言い切れるのか?」



 ――声を挙げろ。

 自らフェイリーに付いていけ。



 たったそれだけで終わる、無意味な茶番劇。

 そのカードを握っているのは俺だ。

 誰にどうさえぎられることも無い。



 なのに、お前は何故――――黙りこくったまま、知り合い達に頭を下げさせているのだ、ケイ・アマセ。



 お前はすでに、彼らの気持ちを無下にする行いをしている。

 たったひと声をどうして挙げない。

 この茶番を続けさせているのが俺であることが、ナタリーづたいででもこの場の者達に露見ろけんすれば、俺は彼らからの信用を無駄に傷付けることになる。



 だが動かない。



 いな、動けない。



 天瀬圭あませけいは、こんなにも状況を解っているのに――――がんとして、ケイ・アマセの身体を動かすことが出来ない。



 何なんだ。

 まさか、これも呪いの一種だとでも――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ