「襲撃考察④」
「大丈夫だよ、バディルオン君。昨日襲われた人たちだって目覚めたんだ、今回もちゃんと目ぇ覚ますって」
「そういうことじゃねぇんだよっ! 違げぇだろうがッ!!」
「ビージっ、」
「フザけんなよテメェ。見知った奴が、親しい奴がやられてねぇからそんなことが――」
「『病人の前だぞ!!』とかで怒られちゃうよ、アルクスの人に。報告も止まっちゃってるし」
「っ、」
「それに、この程度で怒り心頭にそんなこと言われても――」
「ギリート」
――誰の声かと、思った。
俺だった。
「……今自分で驚いてたよね、君ね」
「………………規模の問題じゃない。被害者の親しい親しくないも関係ない。ただビージの気持ちを汲めってだけの話だ」
「そうかな?」
「それも余計だ。大体お前が口出ししなかったらビージは報告を続けてた」
「……それもそうだね。うん、そうだ。ごめんねバディルオン君、でもまさかアマセ君が助け舟を出すなんてねえ、僕も驚いてるよ」
「だからそれが余計だという。もう少し黙って話を――」
「もうそんなにないんじゃない? 聞くこと。大体血だって、わざわざ調べなくても寝てる彼らのうち誰かの、ってことでほぼ間違いないと思うけどね」
「どうしてそう考える? イグニトリオ」
厳つい顔を更に険しくしているビージの脇に移動しながら、フェイリーが言う。
「あの血が敵のものだとすると、襲撃者は傷を負ったわけですよね。でも相手は敵に増援が来ると分かった時点で、ハイエイト君とキースさんを見逃して退却するような人達ですよ。そんな慎重な人たちが、傷を負ってまで彼らの記憶を奪おうとしますかね? 血なんてそれこそ最も敵側に渡っちゃマズい、情報の宝庫じゃないですか。暗殺めいたことをしでかそうとしてる人達なら、一番気を使うものだと思うんですけど」
「……まあ、その程度の相手だった、というオチも考えられないではないが。その可能性は低いか」
「で、味方のものだとするとですよ。……ここから先話したい? コーミレイさん」
「早く続けて下さいます?」
「はいはい。で、三人の誰かが流した血だとすると……オカしいわけだよね、バディルオン君」
「あ――ああ。三人には傷がねぇ。血なんて流れようがねえんだ」
「鼻血とか?」
「――テメ――」
「ギリート。いちいち茶化すな鬱陶しい」
「可能性を提示しただけだよ?」
「ビージ、無視しろ。続けてくれ」
「……オメーはどう思う、アマセ」
「え?」
一瞬固まってしまう。
ビージは神妙な顔で俺を見ていた。
「……特に考えはまとまってないが。傷は無い、なのに血痕はあった。そして彼ら三人のうち一人の血である線が濃厚――――だったら、傷を負った人物はその後、その傷を治療されたことになる」
「ち――治療? 誰がだよ!?」




