「それも『強さ』だというのなら」
「最下級で頑張るあんたを見てたらさ。ああ、私は気負いと思い上がりだけで義勇兵コースにいたんだなぁって思えたんだ。ティアルバーにやられて、そのティアルバーとあんたが戦ってるのを見て、目が覚めた。アトロもそう。あいつ、口癖みたいに『これじゃアマセみたいには戦えない』って言いながら修行してたんだから」
「…………俺が変えたのか。そんな風に」
「あんたしか言わなさそうな言い方だね、それ……でもその通りかも。ううん、その通りだ。あんたが私達を変えて、そんで……この二ヶ月、学祭の準備やら筆記試験やら色々あったけど――私達なりに、将来をを見据えて自分を鍛え直したの。あははっ、もう関係各所に頭下げまくったんだから! 先生とか頭いい友達とか!」
「……そっか」
〝ケイはすごいよ。たった二週間で、私をこんなにも変えてくれちゃってさ〟
〝変な奴だよテメーは。こうして話してると……こころのよどみが抜けていく気がする〟
〝逃げて逃げて、今の私なの。だから今度、ちゃんと、向き合って強くなりたい。みんなと。自分と〟
「それに、一人じゃダメだった」
「一人じゃ?」
拳の応酬。
やはり打たれ、吹き飛んだのは俺の方だった。
またも地に背を付け滑り、倒れる。
「くっ……」
「うん、一人じゃダメだった。だから、アトロと一緒に頑張ることにしたの」
「…………」
「今だって、たぶん一人じゃあんたにここまで優勢に立ち回れてないと思うし……でも、アトロと一緒なら――私ら、プレジアでもちょっとした名コンビだよ! って、つもり。ていうか。へへ」
〝こういうのに出れば、あいつも少しは変わるかなって思ったけど〟
〝変えるべきはあんたの態度じゃないのか〟
〝お前は意図的に人の心を誑かして弄んでる不誠実なクズ野郎なんだよ〟
〝どうして私に深く関わろうとしてくれないの? どうして私に深く踏み入ろうとしてくれないの?〟
〝正直君はもうダメなんじゃないかと思ってたんだ。――でも、君の周囲は全然そう思ってない人が多い。君の意志を理解し、信じている〟
――――それが、俺の「弱さ」だというのなら。
「――いいコンビだな。お似合いだ」
「え゛ッっ」
顔を赤らめるケイミー。
その間に、俺はしっかりと立ち上がらせてもらった。
――魔波の圧だけでナイセストに敗れたという、ケイミー・セイカード。
あまり人に言えたものではない手痛い敗北を被った彼女も――アトロと協力して、借りられる手は全て借りて、ここまで来たという。
〝どうして彼らがそんなに君を信用しているのか。今度は本当に、興味が湧いた〟
――お人好しだからに決まっている。
俺に拠る所など全く無い。
ただただどいつもこいつもお人好しなだけ。
俺なんかよりずっとお人好しで、どれだけ突き放しても周囲に現れて――そしてその関係を糧にして、皆それぞれに前に進もうとしている。それを知っている。
俺は、きっと知らなかった。




